神奈川フィル第254回定期演奏会を聴く。
指揮 金聖響 ***purogram**** 武智由香 オーケストラのためのEaux Lumieres Temps (オ・ルミエール・タン) ハイドン 交響曲第100番ト長調「軍隊」 -------intermission---- ワーグナー 楽劇「トリスタンとイゾルデ」より 前奏曲と愛の死 ドビュッシー 交響詩「海」 -------encore------ ドビュッシー 小組曲 小舟にて 開港150年を迎えて記念行事が続く横浜。 このコンサートのテーマ『海』にちなんだ選曲で、私にとっては初聖響氏となる楽しみな演奏会。 武智由香さんのオーケストラのためのEaux Lumieres Temps(オ・ルミエール・タン)は世界初演らしい。 1部は屈折した海中の光の中を悠々と泳ぐ魚達~2部は海面の波と風と太陽を~3部はそこに流れる悠久の時間を・・・との解説が。 楽器に与える一音一音を絵筆に、水の中から生まれいずる3枚の絵を見るような素敵な曲だった。。 続くハイドン交響曲100番『軍隊』は『時計』『驚愕』に続いてよく演奏される親しみ易い曲で本日のメインデッシュ(笑) 私の持つハイドンの交響曲のイメージというと『古典的均整』と『健康的』でついつい敬遠(笑)、今まではどんな演奏を聴いても書斎に掛かった泰西名画の枠を出ないのが残念だったが、聖響氏のハイドンはちょっと違った。 まず古典的均整の方は堂々とした風格ある演奏だったし、健康的にも申し分なかった・・と言うと私的には決して誉め言葉ではないだけれど、いつもより音が冴えて立ち上がって、力強く美しかった。 もともと神奈フィルは弦楽器の高音~中音はよく鳴るオケなんだけれど他のパートは音量も音質もいつも不満が残る演奏が多かった。でも今日はオケ全体が音響体として良いバランスで鳴って凄く心地良かったし、売りの打楽器(軍隊用・笑)も凄く頑張っていた。トライアングル、ちょっとこけていた??(笑) 聖響さんのハイドンはこんな病める時代に逆説的解毒作用としてじんわりと身体に染み込んでくるようなすがすがしさが好印象、絶品ハイドンでした。 休憩を挟んでワーグナーとドビュツシー。 これを続けて聴くのは無理がないかい?という突っ込みは別にして(笑)・・・ 何でもワーグナーがオペラ「トリスタンとイゾルデ」を作曲した年が横浜開港の年だったと言う事で選曲されたらしいが、同じ『うつろい』を表現して、一方は人の愛と哀しみに、一方は大自然の翳と光に・・と聖響氏の指揮棒が冴えていた。 何より私兵に対峙して大きく距離を詰めようとする聖響氏の熱意が痛いほど伝わる演奏会だったように思う。
by lime2005
| 2009-06-28 19:31
| 音楽
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