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料理と掻敷(かいしき)・・・

今月は和食の基本でかき揚を教えている。
プロも天ぷらの卒業試験がかき揚というぐらいだから、幾つかのポイントをキッチリおさえないとからりと揚がったかき揚は作れない。なんとか無事に揚がった春菊と桜海老のかき揚に敷き紙を敷いて盛り付けるとふんわり春の香りが立ち上がってくる。

皆様ご存知の敷き紙を掻敷(皆敷とも)と言って料理や器を引き立てる小道具として奉書紙やさまざまな葉が使われますよね。
天ぷらなどの揚げ物に敷く和紙を『白掻敷』と言って素材の余分な油を程よく吸って、器に油じみが付くのを防いでくれる。織り方に祝儀と不祝儀の場合があるので気をつけて下さい!と添えて織ってみせるのだが、自分自身もよくわかっていないのが葉を敷く『青掻敷』の方である。

どんな料理にどんな葉が使われているのか・・・
赤飯に南天の葉(難を転ずるの意から)、お正月の鏡餅に裏白や柳に松にゆずり葉。浅い知識で、初夏から夏にかけては鯵寿司や卵豆腐などに笹の葉を使い放題していたら、ある受講生が『我家では笹の葉は縁起が悪いから使いません!』とおっしゃる。理由は良く判らないとの事だが、気になったので調べてみたら、笹は武士の切腹の最後の酒(と言ってもそれに見立てた水だったとか)の肴三種(身切れ)を出す時の掻敷で当時の武家社会では縁起が悪いので普段は使わなかった事が判明。他にも仏事では葉を裏にして使うなど、今では消えてしまった風習なんだとか。
けれども青掻敷の決まり事の一番は焼き物や揚げ物には添えても、煮物や蒸し物にはNGな事は知らなかった。
最近の日本料理には青掻敷がよく使われていて、昨年の秋にいただいた店でも紅葉した葉や銀杏の葉がこぼれんばかりに添えてあったし、間違って食べると怖い紫陽花の葉がデザートに添えられた店もあった。もちろんサービスする人は一言添えたが、ちょっと演出過多な感じが否めない。

更に、日本料理には『掻敷十二ヶ月』という言葉があって、その季節に使える葉や花の例も知る。

春…梅、椿、桜、菜の花、タケノコの皮、新芽、桃の枝、山吹、青竹の器、ユズリハ、ヒバ、シダ、ウルイ、ワサビ、カエデ

夏…カシワの葉、クマザサ、フジの葉、ショウブ、ヤマボウシ、朝顔、夕顔、ホオズキ、ホオバ、ヤマブキ、若柿の葉、青紅葉 、紫陽花

秋…紅葉の葉、トチの葉、クワの葉、菊、キキョウ、ススキ、ナデシコ、フジバカマ、柿の葉、ハギ、栗(葉・いが)

冬…松葉、ウラジロ、ナンテンの葉、カンツバキ、サザンカ、ヒイラギ


筍の皮はまさにこの季節。捨てないで焼き物の側に添えると野趣味溢れる盛り付けができる!!!
やや・・、笹は入って無い??(笑)
焼き物や揚げ物に、相応しい季節のものをあくまで料理を引き立てるように控えめに・・・・・。本来はもっと事細かくルールが決められていたが形骸化したり風化してしまって今に至る。
掻敷のルーツ(やはり太古は皿代わり?・笑)と本来の目的(季節感の演出)を知ると、皿に食べられないものを盛り付ける民族の風習からあらためて自然への畏敬の念を感じる事が出来て興味深い。
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by lime2005 | 2010-03-16 04:48 | お料理
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