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映画『G.I ジェ-ン』とD.H.ロレンスの詩・・・

2年前の夏休みに書いた日記のD.H.ロレンスの詩にコメントを付けて下さった方が紹介してくれた映画『G.Ⅰジェ-ン』をDVDで見る。
ストーリーはアメリカ海軍SEAL(世界のsea.air.landに配備される特殊作戦精鋭部隊)の入願志願者達の過酷な12週間に渡る訓練テストを描写。上院議員の政治的な思惑によってSEALの訓練に挑む事になったジョーダン・オニール(デミー・ムーア)大尉が唯一の女性候補生として訓練に参加、肉体の限界に挑んで生き抜こうとする姿をえがいたアクション映画である。と同時に映画は女性上院議員の政治的思惑も二重プロットとして物語に巧みに組み込んである。 

訓練初日に上官であるウルゲイル曹長が謎めいた詩を全員の前で暗誦する。
私は、自分自身を哀れむ野生の生き物を見たことはない
小鳥は凍え死に枝から落ちても決して自分自身を哀れとは思わない

その詩の出所は物語の最後に明かされるのだが・・・。

デミー・ムーアが長い髪をバリカンで自ら刈り取る衝撃シーンや体を張った(エキストラを使わない)渾身のアクションは楽しめた。暴力シーンの多さは是非としても男達の中にあってそれらは壮絶な美しさを放っていた。
が、ハリウッド映画だなあ~と思う。綻びがいっぱい(笑)特に最後の戦闘シーンは興ざめ。ハリウッドの悪役(この場合はリビアの戦士)は敵を目前にしながら標的を射抜くことが出来ないのは何故だ!!と突っ込みを入れながらも主人公達の全員無事脱出という茶番を見せ付けられるのはタマラナイ(笑)

最後のシーンで先の謎の言葉はD.Hロレンスの詩、『自己憐憫』である事が明かされるが詩は映画に深みと示唆を与えている。
ロレンスは「チャタレー夫人の恋人」の作家として有名だが、花や小動物を描写した詩には自然界に対する深い造脂が感じられて滋味ながら好きだ。

自己憐憫

野性なるものが 自らをあわれむのを
私はみたことがない。
小鳥は凍え死んで枝から落ちようとも
自分を惨めだとは 決して思わないもの。


死にかけた小鳥に自己憐憫のかけらも無い野生の『生』を視る。
軍隊という効率、成功至上主義の集団で『あわれみ』などという繊細な思考を持ち込む事は敗北を意味する、、と上官ウルゲイルは言いたくてこの詩を口にしたはず。一瞬一瞬を無心に生きるだけだと。

でも、である。その野生の潔さにあこがれるもう一方の心で、人間だからこそ『生ける闇』を生に持ち、『自己憐憫』を共感しうる生き物なんだという、ロレンスの人間賛歌も聞こえて来る。

映画を紹介してくださったグッドラックさん、ありがとう~。
 
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by lime2005 | 2008-02-13 11:34 |
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