カテゴリ:音楽( 46 )

大野和士とリヨン国立歌劇場管弦楽団・・・

今月は大野和士氏指揮、リヨン国立歌劇場管弦楽団の演奏会を立て続けに聴く。
11月3日、マスネ作曲オペラ『ウェルテル』をオーチャードホールにて、
11月9日はショーソンやサン=サーンス他のフレンチ交響曲を東京オペラシティにて鑑賞する。

大野さんが昨年秋にこの歴史ある歌劇場の首席指揮者に就任して初めての凱旋公演で、来日を指折り楽しみにしていた公演だった。

8月にオペラレクチャーコンサートで熱弁を揮った記憶も生なましく、またまたオペラ開演前のプレトークで『ウェルテル≒トリスタンとイゾルテ説』を身振り手振り&ウェルテルのピストル自殺絶命シーンを肉迫熱演。この人のオペラに向ける『情熱』に開演前からひれ伏し状態となる(笑)

食通の町リヨンの老舗レストラン、ポール・ボキューズで料理を味わうように愉しんで~とプレトークで形容したその音は華やかでドラマティックで美味礼賛そのもの(笑)

大野さんの音作りは実に精緻で『何故その音なのか』という音の必然性にトコトンこだわる。例えば3幕のアリア、『春風よ、なぜに我を目覚めさせるのか』はウエルテルの恋の告白のアリア(オペラ中最も美しい代名詞的看板曲)で、曲の終わりが4度もいきなり高くなるのは『叶わない夢』を表現しているからこそ。すでにウェルテルは運命を悟っているのだという。
もうそれだけで只の求愛歌ではすまされなくなる。

以下音楽ライターの林田直樹さんのLINDEN日記から・・・

『さて、久しぶりに私は、オペラを振る大野さんを観ました。そこで彼の何が良いのかを改めて実感しました。音楽を立派に演奏する、オケを鳴らし、歌手を歌わせるというだけなら、他の指揮者にもできる。それだけではない。
なぜこの音はこうでなくてはいけないのか、その意味をドラマの観点から完全に把握し、その音のありようを心から愛しているからこそ、確信を持った強靭な意志力のある棒になるんだと思う。楽譜どおり音を出すとかいう次元じゃないですね、大野さんのタクトは。』


>その音のありようを心から愛しているからこそ、

この言葉に尽きるように思うのです。
その音のありようを楽団の全ての人に理解してもらっているからこそ、身を乗り出して聴きたくなるような音に満ちた演奏会になり得るのだと思う。
久しぶりに経験した『豊穣な音の洪水』・・・・・♪♪♪
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by lime2005 | 2009-11-04 10:08 | 音楽

あえて、ちいさな『魔笛』2009・・・

e0038778_03878.jpg今年もちいさな魔笛を観に両国シアターXに行って参りました。
(8月23日Aプロ 16時半開演)
パンフレットを拝見して今年は7公演もある事に驚きました。
当然キャストも多く、更なるパワーアップを期待ですね(笑)
昨年はエッダさんの演出でしたが今年は音楽監督の天沼裕子さんが音楽監督・台本・演出他一手に引き受けていらして構成にも工夫が一杯の舞台でした。

このシリーズを拝見するのは3回目ですが、出演者やスタッフの『良質なオペラ』を届けたいという熱意&熱気が伝わってくる舞台は今回も変わりありませんでした。
それに加えて、台詞回しがコミカルでアップテンポなユーモア(一部に二谷幸喜的喜劇説も)が客席との距離を縮め、桟敷席の子供達はもとより、大人も思わずクスリの場面多数。


終演後に天沼さん御自身から『台詞はアドリブの事もある』事を伺って驚きました。たぶんそんな勇気ある演者は3人の官女(ノリノリでした・笑)のどなたか?か、ザラストロとパパゲーノの2役を渾身の歌と演技で支えた大井哲也さんかしら?と思いました(笑)

でも一つ気になった事は、全体に説明過多のような気がしました。ストーリーが複雑なので判るのですが最初のドラマトゥルクや台詞の状況説明をもっとシンプルにした方が音楽も劇も停滞しない感じがします。

期待♪♪♪の音楽は前半はゆったり1本調子なのが気になりましたが、『夜の女王様のアリア』以降はテンポが揺れて活き活きとドラマティックな進行に。とにかく珠玉の旋律が宝石箱にギッシリ隙間無く・・というのが『魔笛』♪♪の音楽。ミニマムにエッセンスが凝縮された編曲手腕の見事さは言うまでも無く。本当はフルオーケストラなんだと忘れてしまう程でした。

予告の時にこのオペラは良く判らないと書きましたが、それは今でも変わりなく不可解(筋書きにおいて登場人物の行動に整合性が無いところが多い)なのですが、『どんな人(物)も善悪・白黒・表裏では図れない多面体的存在』と言う事をこんなおとぎ話にサラっと盛り込んで楽しませてくれるモーツアルトって、やはり只者では無い感じ。子供にはこういう『本物』を感じさせてあげたい、と心から思うのです。

出演者はたったの7人+小さいタミーノ役の桐谷君と子ども達&アンサンブルXの舞台でしたが、ちいさな『魔笛』の大きな魅力に魅せられた1時間10分でした。

天沼さん、演奏者&スタッフの皆様お疲れ様でした。

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by lime2005 | 2009-08-24 20:16 | 音楽

大野和士のオペラ・レクチャーコンサート・・・

e0038778_2052459.jpg『世界のマエストロが自らピアノを弾き、歌手たちの熱唱とオペラの醍醐味を紹介する神奈川県立音楽堂の人気企画!』と言う事で
今回のテーマはズバリ 『嫉妬』

オペラと嫉妬感情は切っても切り離せない関係ゆえサブジェクトは掃いて捨てる程ある中、大野さんが取り上げたのは

チレア作曲 『アドリアーナ・ルクヴェルール』
レオンカヴァッロ作曲 『道化師』
ヴェルディ作曲 『アイーダ』&『オテロ』
マスネ作曲『ウェルテル』 
の5曲、5幕のワンシーン。

全曲ドロドロの感情が渦巻いて悲劇の序章となる凄いシーンばかりなのだが、オペラはついつい歌手の歌や表情に囚われて、音楽そのものは純粋に楽しめない所がある。(私だけかもしれませんが・・)
それに前奏曲や間奏曲、耳慣れたアリア以外は只々流れていってしまうので、改めて聴いてみると作曲家の仕組んだ巧妙な音を再確認。大野さんのレクチャーの意図もそんな魅力的な『音』をつぶさを感じて欲しいというものだった。

とにかくオペラは長い。ドラマテイックなストーリーだと登場人物も多くて『あらすじ』を話すだけでも2~3分かかる。まずはテンポ良くそこを話す大野さん。そして問題のシーンを歌手陣にピアノ伴奏で歌ってもらう。その後場合によっては細かく曲を止めながらレクチャー&演技指導(笑)。聴き所を聴衆に確認させてもう一度通しで歌を披露~という手順で5曲。ポスターでも判る通り身振り手振りを交えて情熱的にしゃべりまくる事2時間30分。

このレクチャーを受けながらアリアの伴奏としか思えなかった『音楽』が意志を持った生き物のように思えて来た事は驚きだった。
少し例を挙げると・・・
※主人公が賛美絶唱のアリアを口ずさむ影で不穏な通奏低音が彼女の一抹の不安、心の声を音にする。
※曲中の転調は情景、状況の劇的な場面展開を意味する事が多いが、レオンカヴァッロはオペラ『道化師』でアリア曲中に用いて心理をより鮮やかに浮かび上がらせ、現実と仮面を交叉させる。
※歌い終わりを6度音を上げるアリアには手に届かない憧れが歌われている事。

などなど・・・オペラ『音楽』が物語の進行や登場人物の心理を深くえぐって彩るように効果的に使われている事を具体的に知る機会を得る。オペラ音楽としての共通項もあれば、作曲家独自の魔術もあった。

最後のヴェルディの『オテロ』 (御存知シェークスピアのオセロが原作)では男同士の猜疑&嫉妬心の2重唱に、『こんな男には気をつけろ!!』シリーズを展開。これであなたも絶対にオレオレ詐欺にはひっかからないはず!!と息巻いていた大野さん。

いえいえ、わかっちゃいるけどまた観てしまう、愛の泥沼歌唱劇。それがあなたの愛するオペラなんでしょうね♪~(笑)

そんな大野さんが手兵(リヨン国立歌劇場管弦楽団)を率いて凱旋するこの秋のオペラ『ウェエルテル』では、少し音楽の聴き方にレクチャー効果が現れる事を期待したい、と音楽堂を後にした。
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by lime2005 | 2009-08-13 04:03 | 音楽

あえて『小さな魔笛2』・・・

e0038778_1141495.jpg今年も出会える『ちいさな魔笛』・・・。

昨年好評のうちに終わって再演が望まれていた天沼裕子さんの『小さな魔笛』が今年も上演される。昨年見逃してしまった人はぜひ今年は小さな魔笛体験をしてみませんか?

ところで、こんな日記を書きながら不謹慎だとは思うが、私にはこの『魔笛』というモーツアルト最晩年のオペラが今一つ判っていない。
ファンタジーに類する娯楽作品で当時の興行主(同時に役者でもあった)だったシカネーダーという人がフリーメイソンのメンバーだった事から、深読みするとファンタジーの枠を飛び越えてしまいそうな難解なオペラでもある。
ストーリーはところどころ辻褄の合わない所もあって、馬鹿馬鹿しささえ漂う、魔法神秘茶番劇とでも呼びたいぐらい。

王子が鳥人間パパゲーノの力を借りて囚われの王女を救出しながら神殿の前に愛の強さが試される、ドラゴンクエストさながらの冒険活劇(笑)?!!


数あるオペラの中でも絶大の人気を誇る『魔笛』・・・・
惹き付けられるものは何か?
それは『音楽の力』としか言い様が無い。

物語に相応しい重奏な前奏曲。
パパゲーノとパパゲーナのパ・パ・パのにぎやかな二重唱。
夜の女王の燃え立つような復讐のアリア。
そしてト短調のパミーナの哀しみ溢れるアリア・・・
(モーツアルトにとってト短調は特別な調性だと思う!!)

主人公の情感が存分に音楽に織り込まれて、究極は『哀しみを内包した可笑しさ』なんじゃないか?と思える。

魔笛は舞台を古代エジプトにおいているのですが、天沼オペラの舞台は何処に??も楽しみな演出である。
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by lime2005 | 2009-07-08 01:14 | 音楽

金聖響の絶品ハイドン・・・

神奈川フィル第254回定期演奏会を聴く。

e0038778_19115.jpg  指揮 金聖響

***purogram****

武智由香  オーケストラのためのEaux Lumieres Temps
(オ・ルミエール・タン)
ハイドン   交響曲第100番ト長調「軍隊」

-------intermission---- 

ワーグナー 楽劇「トリスタンとイゾルデ」より
前奏曲と愛の死
ドビュッシー 交響詩「海」

 -------encore------
 
ドビュッシー 小組曲 小舟にて


開港150年を迎えて記念行事が続く横浜。
このコンサートのテーマ『海』にちなんだ選曲で、私にとっては初聖響氏となる楽しみな演奏会。

武智由香さんのオーケストラのためのEaux Lumieres Temps(オ・ルミエール・タン)は世界初演らしい。
1部は屈折した海中の光の中を悠々と泳ぐ魚達~2部は海面の波と風と太陽を~3部はそこに流れる悠久の時間を・・・との解説が。
楽器に与える一音一音を絵筆に、水の中から生まれいずる3枚の絵を見るような素敵な曲だった。。

続くハイドン交響曲100番『軍隊』は『時計』『驚愕』に続いてよく演奏される親しみ易い曲で本日のメインデッシュ(笑)
私の持つハイドンの交響曲のイメージというと『古典的均整』と『健康的』でついつい敬遠(笑)、今まではどんな演奏を聴いても書斎に掛かった泰西名画の枠を出ないのが残念だったが、聖響氏のハイドンはちょっと違った。

まず古典的均整の方は堂々とした風格ある演奏だったし、健康的にも申し分なかった・・と言うと私的には決して誉め言葉ではないだけれど、いつもより音が冴えて立ち上がって、力強く美しかった。
もともと神奈フィルは弦楽器の高音~中音はよく鳴るオケなんだけれど他のパートは音量も音質もいつも不満が残る演奏が多かった。でも今日はオケ全体が音響体として良いバランスで鳴って凄く心地良かったし、売りの打楽器(軍隊用・笑)も凄く頑張っていた。トライアングル、ちょっとこけていた??(笑)
聖響さんのハイドンはこんな病める時代に逆説的解毒作用としてじんわりと身体に染み込んでくるようなすがすがしさが好印象、絶品ハイドンでした。

休憩を挟んでワーグナーとドビュツシー。
これを続けて聴くのは無理がないかい?という突っ込みは別にして(笑)・・・
何でもワーグナーがオペラ「トリスタンとイゾルデ」を作曲した年が横浜開港の年だったと言う事で選曲されたらしいが、同じ『うつろい』を表現して、一方は人の愛と哀しみに、一方は大自然の翳と光に・・と聖響氏の指揮棒が冴えていた。

何より私兵に対峙して大きく距離を詰めようとする聖響氏の熱意が痛いほど伝わる演奏会だったように思う。
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by lime2005 | 2009-06-28 19:31 | 音楽

あえて、小さなオペラvol.2 ・・・

葉桜が初夏のような太陽に反射して眩しかった先週末。
マスカーニのオペラ『カヴァレリア・ルスティカーナ』を両国のシアターX(カイ)で観る。
(・・・とこの記事を書いている最中にPCトラブル発生、そのまま愛機はメンテナンスに007.gif・・・)
4月9日(木)~11日(日)の3公演ともほぼ満席完売の盛況ぶりで私は10日の公演を鑑賞する。

e0038778_1594666.jpg『あえて、小さなオペラ』と題した、昨年の『魔笛』に続くvol.2。

作曲 : ピエトロ・マスカーニ
音楽監督・指揮 : 天沼裕子
演出 : 藪西正道

キャスト
サントゥッツァ : 菅有実子
トゥリッドゥ : 大澤一彰
アルフィオ : 馬場眞二
ローラ : 小倉牧子
ルチア : 大国和子
シチリア島の人々 : 中川越百 川原千晶 佐藤貴子
高橋安紀 大山綾子 藤川亜悠子
亀岡聖子 紺野由香里 志田雄二
安保克則 斉藤洵 新井健士

アンサンブルΧ : 長明康郎(チェロ)
           鈴木結佳(クラリネット)
           真島圭(ピアノ)

憂愁を湛えた美しい間奏曲が一人歩きしている感のあるこのオペラの舞台は地中海のシチリア島。
コッポラ監督の『ゴッドファーザー・パートⅢ』にはコルリオーネ一族の3代目の長男がオペラ歌手としてデビューするシーンがあって、まさにこの『カヴァレリア・ルスティカーナ』を上演中に劇中殺人が起こったのを憶えていらっしゃる方も多いのでは・・。

会場は客席も含めた面積の半分が舞台に設えてあって、登場人物は客席からも出入りするので臨場感溢れる舞台を楽しむ。
舞台上手に主人公トゥリッドゥ の母ルチアが経営する酒場、下手に教会の扉。
のどかなシチリア島の小さな村の復活祭の朝に事件は起きる。
二組の、夫婦と恋人達の糸が絡まり、不信、怒り、絶望、報復へとドラマが進んで行く。
その間、村人達には静かで平和な日常。教会のミサが敬虔に執り行われ、復活祭の酒宴が始まる。追い詰められた主人公は決闘を申し込んで破滅の人生を選び取るという悲劇である。

これまでに何度か観たカヴァレリアの舞台は理性が勝った抑制の効いたものが多かったが、この小さなオペラにはシチリア人の激情した熱い血潮・熱気が伝わって来た。
サントッツア役の管有実子さんのメラメラ燃える青白い炎の歌唱に、捨てられた田舎娘の未練と絶望がねっとり表現されて説得力があったし、ルチア役の大國和子さんはドラマをキリリと引き締める役どころと馥郁とした包容力のある歌唱が素晴らしかった。
難点は主要登場人物を除くシチリア島人合唱団(と名付けてみました)がその無添加ネイチャー風なサラサラとした衣装に準じた薄い合唱しか聴かせてくれなかった事でしょうか。もっと俗っぽく、土着っぽく、群集のエネルギーを感じる分厚い合唱が聴きたかったです!!!アルプスの山小屋をバックに歌っている訳ではありませんからね~♪

歌や演技に増して音楽が熱かった。フルオーケストラをクラリネットとチェロとピアノだけで表現、編曲をされた天沼さん自ら指揮をされた。普通オペラの指揮はオーケストラボックスのピットに納まるので観客からは指揮姿が見えないのですがそこはちいさなオペラ。奏者共に舞台手前中心に位置してキビキビと指示出しをする指揮姿を目の当たりに出来たのがラッキー。やはり指揮者って本番は全身肉体重労働者(笑)

配布パンフによると『あえて、ちいさなオペラ』シリーズを『両国オペラ』と名付けたら?の案が密かに持ち上がっているらしいが大賛成!!!
もともと演劇用に作られた劇場空間ゆえに、制約や障害も多いかと思うのだが、創作意欲が伝わる作品をその分こちらも期待できるメリットが。ぜひ次回はレオンカヴァルロの『道化師』を所望!!(笑)
それに今年の夏はあ・の・魔笛が装いも新たに帰って来ると風の噂に聞き、益々目の離せない両国である。
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by lime2005 | 2009-05-20 09:59 | 音楽

『楽団の色 確立したい』・・・

3月12日朝日新聞神奈川版の記事から

この春から神奈川フィルハーモーニー管弦楽団の常任指揮者に就任する
指揮者の金聖響さん(39)の抱負に涙する(笑)


>団員と心を通わせ、楽団の色を確立したい。

>むっとした人もいたと思うが、刺激を与える役割に徹したかった

>シュナイトさんとの共演を重ねた神奈川フィルは、音色が磨かれ、息が合ってきたと感じる

>でもその前にオケが企業努力をして、地域社会に貢献していると認められなくてはいけない。学校や福祉施設の出張演奏会では、直接観客に語りかけたい。不況の今、変化を起こすために呼ばれたなら、運命だと思っている


シュナイトさんが丹精込めて耕した大地に、どんな色の、香りの花が咲くのか期待が高まる記事である。
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by lime2005 | 2009-03-13 01:37 | 音楽

またまたシュナイト氏のブラームス・・・

神奈川フィルハーモニー管弦楽団の名曲コンサートを聴く。

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 指揮: ハンス=マルティン・シュナイト
 ソロ・コンサートマスター: 石田泰尚
 
***purogram****

ブラームス : ヴァイオリンとチェロのための二重協奏曲イ短調 
       ヴァイオリン :  石田泰尚
       チェロ    :  山本裕康

--intermission--

ブラームス : 交響曲第1番


会場に入ったのは仕事帰りで開演5分前滑り込みだった。呼吸を整えるのがやっとだったが満席のミューザ川崎にはいつもより熱気がこもっていたように思う。
昨年春から聴き始めて今回で5回目になるシュナイト×神奈川フィルの演奏会。
この春でシュナイト氏の音楽監督勇退が決まっているのでカウントダウンコンサートになった。多分熱気はそのせいだ。

第一部のコンチェルトはソロパート、石田氏の優美で繊細でいつもに増して研ぎ澄まされたヴァイオリンを献身的に支えるチェロの山本氏の懐の深さに涙し、それを室内楽的親密さでオケの音に配置した、一枚の絵を鑑賞しているようなコンチェルト。ブラームスの旋律美を味わい尽くせた一曲でした。

続く交響曲1番は、モニュメンタルな出だしの音から、『嗚呼~この音がシュナイトの音!!!』
抑制の効いた秘めたる静かな情熱。
でも昨年秋に聴いた4番のストイックな音とは違って音楽に熱さがあるし、始終のびやかさを感じた。
シュナイトさんは足がお悪いので着席して指揮をする。当然腕を小さく動かすだけの指揮振りなのだが、今日ほどその指揮が大きく感じられた事は無かった。
その適確な指揮棒に弦楽器群を始めオケ全体が全身全霊で応えようとしている。何と言っても圧巻は第4楽章で、主旋律の切ない典雅な歌に込める熱が徐々に上がっていって、客席の熱気と相まって力強いクライマックスを迎えるところ。一期一会、この輝かしい音をたぶん一生忘れないと思う!!!!

割れるような拍手喝采。シュナイトさんもそれに応えてか、オケの中に入り込んで楽団員を讃える。2階席、3階席に向って両手でオペラグラスを作って見せるお茶目な仕草に淋しさが込み上げた。

後一回、5月のシューマンシリーズ最終回がシュナイト×神奈川フィルの最後公演。
万難を排して駆けつけたい気持ちである。
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by lime2005 | 2009-03-09 21:37 | 音楽

エスケィピスト石田・・・


e0038778_136460.jpg石田泰尚氏のヴァイオリンリサイタルを聴く。
曲はブラームスのヴァイオリン・ソナタ全曲。
ピアノ:諸田由里子

本日のメインデッシュ、ヴァイオリン・ソナタ1番で感想を書いてみよう・・・
ブラームス中、3本の指に入る大好きな曲だけど、4年前に同じみなとみらいホールで聞いたヴェンゲーロフの1番とは同じ曲とは思えない石田氏のブラームス。

ヴェンゲーロフのは南ヨーロッパの雨の風景、昔高校で習って諳んじていた西脇順三郎の『雨』の詩編がゆったりと広がる映像型『雨の歌』。しっとりとして暖かい気持ちになれた。

でも石田氏の雨の風景は違った。
淋しさを思った。
哀しみを思った。
ひとり言、ため息、すすり泣き、沈黙・・・
それは恋愛の喜びの真裏にある淋しさや哀しさに似た。


自らその淋しい詩の世界に堂々エスケイプするがごとく。
だけど亀が甲羅に頭を沈める敵前防衛じゃなくて、もっと積極的に人生の神秘に触れようとあがき悶えながらの逃亡
そんな石田氏を思ってか、ピアノの諸田さんの音が途中で変わったのが嬉しかった。

一音、一音の気持ちの入れ方に一ミリの妥協も無い雨の詩を楽しんだ。
ずっとずっと聴き続けたいけれど、このエスケィピストについて行くのは結構しんどいかもしれない・・・。

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by lime2005 | 2009-01-29 01:31 | 音楽

シュナイトさんのブラームス・・・

これまで温かいお見舞いの言葉を本当に有り難うございました。
お陰さまで骨折はギブスが取れてゆっくりなら歩けるようになりました。
社会復帰まであと一歩、リハビリを兼ねて一ヶ月ぶりに音楽会に~♪

神奈川フィルハーモニー管弦楽団の第247回定期演奏会を聴く。

 指揮: ハンス=マルティン・シュナイト
 ソロ・コンサートマスター: 石田泰尚
 
***purogram****

ヴェートーヴェン:ヴァイオリン協奏曲 
       ヴァイオリン・ソロ : 竹澤恭子


--intermission--

ブラームス:交響曲第4番


久しぶりの友人達と愉しい食事歓談の後、みなとみらいホールへ。
週末の夜とあって会場はほぼ満席。

まずはヴェートーヴェンのコンチェルト。
初めて聴かせていただく竹澤さんのヴァイオリンは強い意志を感じさせるような伸びやかな音色。
拍を刻む身体に添う黒いドレスラインに大人の色気を感じさせる、そんな女性。
テンポはゆったりとして柔らかくロマンテイック。全体にトーンを抑えて音のひとつひとつに思いを込めていくような演奏に、竹澤さんのヴァイオリンがくっきりと浮かび上がるコンチェルト。
『叙情』は満ち溢れるほどあったのですが、それが最終楽章までひたすら流麗に流れて歌い継がれいく、聴き手には少々忍耐の要る演奏だった。

続いてブラームスの4番。
こちらはもっとビックリ。こんな抑制の効いたブラームスは初めて聴いた。
とにかく音のメリハリや揺さぶりが無く、感情面に訴えかけるような音をあえて抑えたような演奏で、ブラームスの沸々とした内気なロマン性をそのまま音にしたらこんな演奏になるのかな?なブラ4(笑)そしてそれはシュナイトさんだからこそこのブラ4なんじゃないか、と3日経ってようやく思えるようになってきた。
実は前日にリハーサルを見学させていただいて、『ブラームスは歌が大切』と語っていたシュナイトさん。練習中、気に入らない音の箇所で何度でも弾き直しをさせて『歌』を求めていたが、シュナイトさんにとっての『歌』って決してベル・カント(スタイル)で歌いまくる事じゃないことが明確に判明。もしかしたら私は『歌』ってものを誤解しているのかもしれないと思わされた。
改めて『歌』って何??!!!と自分に問いかけてみる。

オケが春のシューマンを聴いた時程に音が出ていなかったのが何とも残念でしたが、シュナイトさんのブラームスはまたぜひ聴いてみたいと思った。その解釈ゆえに・・・・。
(ちなみに2009年3月、ミューザ川崎でブラ1)
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by lime2005 | 2008-10-18 20:48 | 音楽