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根津美術館と光琳・・・

久し振りに母と出かけた。
渋谷駅で待ち合わせをして、そのまま青山通りを赤坂方面に20分ほど歩くと根津美術館はある。
ここの所蔵作品である尾形光琳『燕子花図が修復を経て久し振りに見られるとあって勇んで出かけた。

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根津美術館は江戸琳派、尾形光琳・乾山兄弟の作品の他、茶の湯道具や中国商周時代の青銅器、那智の滝図などの仏教美術のコレクションが特徴の目前に広大な日本庭園を有するしっとりと落ち着いた風情の美術館である。

今回特別展では光琳の最高傑作と言われる『燕子花図』屏風をはじめ、『四季草木図』屏風や西行物語絵巻などの絵画の他、弟乾山との合作の工芸品も数多く展示されていて、暫し元禄の雅な美の世界に浸った。         (↓は自宅の図録・小学館・原色日本の美術14)
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『燕子花図』屏風というと伊勢物語の東下り三河国八橋の一説  
        らころも
          つつなれにし
            ましあれば
              るばるきぬる
                びをしぞおもう
の歌に読み込まれた『かきつばた』のイメージがモチーフになっているのはよく知られたこと。金箔地に鮮やかな群青と緑青(ろくしょう)の絵の具で燕子花のみ単純明快に描いた作品。その象徴的空間から、花を見て都の恋人を思って泣いた主人公(在原業平)の気持ちを思い遣るにはあまりに軽快で明るい。
印刷物で見ると深い翠色に見える葉や茎の色も実際は印象派の画家が使うような鮮やかなコバルトグリーンでぼってりと描かれて、花の色との対比が美しい。

また展示物には光琳の図案帳の展示もいくつかあって、彼が元禄きっての売れっ子デザイナーだった事を確認できた。実家が京都の呉服商だっただけに小袖の『*光琳模様』は人気で、中でも屈曲した枝に花びらを区別しない一筆書きの花や蕾を配した『光琳梅(こうりんうめ)』はファッションリーダーであった町人のあこがれのブランドであったようだ。

光林模様・・・1710年~30年代にかけての上方で、小袖模様を中心に流行した琳派風、光琳風の意匠のこと。『林』の一字が入れ替えてあるのは意匠者、製作者が光琳の名によりながらも第三者であることの意。

奥の庭園は都会の中にいることを忘れてしまうほど深い樹木に覆われた自然味の深い庭園で、良く手入された4つの庵と喫茶室を有する。ふと、千利休が示した茶庭の極意『樫の葉の紅葉ぬからに散りつもる奥山寺の道の淋しさ・・』が頭を過ぎる。
中央に『八つ橋の池』が配されていて、神秘的な雰囲気を漂わせていた。春にはその水辺に燕子花が咲き揃うのだろうか。

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帰りに館内ショップで『世界文化史年表』ロール判(芸心社)を見つける。
世界の文明文化の盛衰が一目で見渡せる、こんな物があればと常々思っていた年表だけに即購入。
1020円・・。

根津美術館はきっとまたすぐに訪れてみたくなる美術館である。
因みに本特別展は11月6日(日)まで、次の燕子花公開は来春だそうだ。
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by lime2005 | 2005-10-31 07:50 | 寄り道

読書三昧・・・

家事を手早く済ませて、コーヒーをたてて、昨日は読書三昧。
5時間で 3冊+週刊誌(サンデ-毎日)一部読破

   『茶の湯』生い立ちとこころ    村井康彦   朝日カルチャーブック
   日日是好日             森下典子   飛鳥新    
   夜のミッキーマウス        谷川俊太郎  新潮社

茶の湯~は日曜日に県立金沢文庫で見た『茶と金沢貞顕(さだあき)』という企画展が思いの他面白かったので、茶の湯の歴史についてもっと知りたいと思ってチョイス。朝日カルチャーの講義そのままに口語体で書かれていて読みやすい。

日日是好日(にちにちこれこうじつ)~は数年前に読み逃した『典奴』のお茶道エッセー、実にタイムリー。こんな本は10代後半にめぐり合えていたらなぁ・・・娘の本棚にそっと入れておこう~。

夜のミッキーマウス~秋晴れの乾いた心にスットーーーンと落ちた。雑誌に書き散らした作品を編んだ、形、調べの様々さが楽しい。

    ひとつまみの塩
                谷川俊太郎

 買っておけばよかったと思うものは多くはない
 もっと話したかったと思う人は5本の指に足らない
 味わい損ねたんじゃないかと思うものはひとつだけ
 それは美食に乾きつつ気おくれするこのぼくの人生

 アイスド・スフレのように呑み下したあの恋は
 ほんとうはブイヤベースだったのではないか
 クルネのように噛みしめるべきだったあの裏切りを
 ぼくはリンツァー・トルテのように消化してしまったのか

 気づかずに他のいのちを貪るぼくのいのち
 魂はその罪深さにすら涎をたらす
 とれたての果実を喜ぶ舌は腐りかけた内臓を拒まない
 甘さにも苦しさにも殺さぬほどの毒がひそんでいる

 レシピはとっくの昔に書かれているのだ
 天国と地獄を股にかける料理人の手で
 だがひとつまみの塩は今ぼくの手にあって
 鍋の上でその手はためらい・・・そして思い切る

 レシピの楽譜を演奏するのは自分しかいないのだから
 理解を超えたものは味わうしかないのだから
                (新潮社)
 
 谷川さんの詩の、その存在の確かさ・・・。
 
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by lime2005 | 2005-10-26 07:54 | 日記

秋のスイーツ Vol 1・・・

 Monto-blanc(モンブラン)

秋のスイーツの主役、モンブラン
好きが高じてシーズン中必ず4回手作りする。1回で約10個出来るので、年間40個モンブランを作っている事になる。これには理由があって、主材料のちょいと高価なフランス製のマロンペースト缶がぴったり4回~5回分作る量入っているからである。(別に全部ケーキに使う必要は無いのだが・・マロンの方が要求するのだ!!)少量缶もあるが少し割高。
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そもそもこのスイーツは何故モンブランと呼ばれるようになったか・・・。
尊敬する菓子職人、ブール・ミッシュの吉田菊次郎先生の著書によると、いつ、誰が作り始めたのかという正確な記録が残されていない謎の多い菓子とされている。
材料のマロン・ペーストの初見が1889年ギュスターブ・ギュラン著の『近代製菓概論』においてらしいので、これ以降。おそらく1900年の初め頃にお菓子の仲間入りを果たしたとのこと。
で、モンブラン(フランス語で白い山の意)とはあのスイスの名峰。
アルプス最高峰をマロンクリームで絞りだし、雪に見立てた粉砂糖をふった菓子というのが誰もが認めるところのモンブランである。

そのモンブランに欠かせないマロンクリーム、少し前まで黄色いマロンクリームが主役だったが、最近あまりお見かけしなくなった。あれは京マロンペーストといって白餡に砂糖、ウコンなどの色素を加えてマロンの香料をつけた一種のまがい物ですが、モンブランと言えばあの黄色いクリームと栗をすぐに思い浮べてしまうのはノスタルジーかな~。

今の人気はフランスSABATONのマロン・ペースト。香りがよく、甘さが上品。よく間違えるのがマロン・クリーム(フランス語表示がクレーム・ド・マロン)。こちらはペースト(パート・ド・マロン)に比べると柔らかく、甘味が強いのでモンブラン用には使えない。
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マロンクリーム、私の配合は・・
                       (ロールケーキ)
  マロン・ペースト 200g       全卵2個・卵黄1個 
  無塩バター    20g        砂糖  50g
  生クリーム    50g        薄力粉 35g
  ブランディー   15g        牛乳  
                       (クレーム・シャンテイ)
                        生クリーム150g
                        砂糖    10g
                        バニラE  少々
                      マロンクリーム少しを加えて
                      泡立てたらスポンジにナッペ         
                                   
である。マロン・ペーストとバターを滑らかになるまですり混ぜたら生クリームとブランディーを加えて、土台のロールケーキにモンブラン用の口金で絞り出す。これがなんとも楽しい。
栗は渋皮煮にしたものをロールケーキに刻んで入れて、大き目をトップに飾れば出来上がり。
土台をフィナンシェやタルトにしてみたり、ロールケーキにこだわるようになってからもチョコロールやキャラメルロールといろいろ試してみたがやはりこの形に落ち着く。(純生ロール)
ーーーーおまけーーーー
世のモンブラン好きの皆様、驚きのサイトをご紹介しよう~。管理人の根気に感服。
甘いものが苦手な人とダイエットしている人は入室お控えくださいませ~。
甘党の私も『か』行の終わりごろには塩昆布茶漬けをさらっといきたくなりました。
貴方のいただいたことのあるモンブランは見つけられたかな?

** 暫くモニターの不調で写真の彩度が落ちていましたが↓少し修正入れました。
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by lime2005 | 2005-10-24 15:20 | お菓子

旧華頂宮邸・・・

雨の連休の一日・・鎌倉の瀟洒な洋館を訪ねた。
鎌倉と横浜・六浦(むつうら)を結ぶ金沢街道は、かつて六浦路と呼ばれて、塩や海産物を運ぶ『塩の道』として栄えた。その金沢街道沿い、浄妙寺のバス停から竹の寺として名高い『報国寺』を通り抜けたところに旧華頂宮邸(かちょうのみや)はある。
昭和4年、華頂博信公爵邸として建てられ、神奈川県の戦前の洋風建築としては鎌倉文学館に次ぐ大規模な御邸で南側には小規模ながらフランス庭園が配置されている。
現在は鎌倉市が所有、管理を行っているが、不定期に年2回だけ館内も公開されていているのに合わせて訪ねてみた。
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この日はボランティアの方達が丁寧に説明をしてくれたので、受け売りですが補足すると・・
この建築のスタイルは西洋民家に見られるハーフティンバースタイル(下階が石造りかレンガ造り、上階が木造建築様式)と呼ばれる建築様式らしい。

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 ↑
南の庭園側ファサードは幾何学的な本格的フランス庭園と相まって端整かつ厳然たる佇まい。小さいながら噴水もテラス前に配置されていた。


← 逆に玄関側のファサードは凹凸や壁面模様があってピクチャーレスクな感じ、絵になるってやつ・・でしょうか。南ドイツ、スイスの片田舎にこんな家を見かける事が多かった。


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この日は地元の華道家が文字通りそこかしこに華を添えてくれていた。






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← 一階の北側洋室、石化鶏頭とななかまど。花器の置かれた花台に目を奪われる。






↓ 2Fにあるもう一つのリビングのレトロなあしらい。
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ほとんどの部屋にはスチーム暖房用の大理石のマントルピースが配置されていている。
厨房や入浴場などの水周りに興味があったが、そこは非公開。痛みが激しいのだろうか。

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壁紙は綺麗に織られたクロス。ただし内装は持ち主が何度も替わっている為建設当初のものとは考えにくいとの事。
ドアの取っ手には彫金が・・。



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←階段

右は窓から鎌倉の森の望める部屋。窓明かりが神秘的。



この窓の下に大きな金木犀の木があって、屋敷中が木犀の香りでむせ返らんばかりでした。

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階段踊り場の明り取りの窓に飾られた小さな秋と壁あかり
壁面をご覧いただきたい。すべて手作業で塗られた壁面、上薬がかけてあってほのかに
鈍い光を放っている。






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西洋の論理的思考の権化、フランス式庭園。完全左右シンメトリ-。
花瓶は庭園の薔薇。凛としていながら、何処となく儚げで惹かれる。





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此処に立つと昔愛読した中井英夫や夢野久作らの幻想文学の主人公に遭遇しそうな錯覚に陥る。フランスの19世紀末作家の美意識を日本の風土に取り入れて開花させた稀有の、もう今は昔の作家達である。

・・・・おまけ・・・・
鎌倉にはもう一つ特筆すべき建築物『鎌倉文学館』があるが、こちらは来月ゆっくり訪ねる予定なのでまたレポートします。
もう、御判りですね。何を隠そう近代洋風建築フリークです。ワタクシ・・・。
こちらの館内を拝見したのは今回が初めてですが、ぜひ来春の公開時も訪ねたいと思っておりますので、ご一緒していただける方は密かにメールを下さい。春の鎌倉をあわせてご案内します。入館料は無料でボランティアさんがいれてくれる香り高いコーヒー付きです。
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by lime2005 | 2005-10-11 08:30 | 寄り道

ゆとり空間・・・

栗原はるみさんのレストラン『ゆとり空間』に行ってきた。西本さんを応援するお仲間から誘って
いただいたのだが、コンサートの無い時にゆっくりおしゃべりするもの愉しい。

レストランはJR恵比寿駅西口から5分程歩いて、通りを少し入った公園の脇にある。
これで2度目だが、以前も少し待たされたので開店前に並ぶこと35分。その間ずっと西本さんの話題で盛り上がりあっという間に11時の開店時間に・・。

半地下ほどの階段を下りて店内に入るとまずフローリストが目に入る。ハーブの寄せ植えや季節のアレンジメントがお出迎えしてくれた。更に行くと右手にデリカウンターが、左手にははるみさんプロデュースの食器や調理器具のディスプレーがセンス良く並んだショップ。その奥にレストランが広がる。ベージュとペパーミントグリーンにまとめられた店内は明るくて寛げる。

お料理は【えびすランチ】と単品の【ゆとりごはん】があったが、迷わず全員えびすランチを注文。
主菜2品、副菜3品のワンプレートランチでみそ汁、ご飯、デザート、飲み物がついて1575円
その日のメニューは 主菜が
   ポークソテーきのこクリーミーソース
   サンマの香味煮
 副菜 は
   ごぼうとにんじんのきんぴらサラダ
  いんげんのごま和え
  かぼちゃとさつま芋のサラダ
 デザートは
  マンゴープリンで私はハーブティーをチョイス。

お料理は白磁の丸いプレートに 少しずつ盛り付けてあって、それはレストランというより、気の置けない友人宅でいただくお昼という雰囲気。『昨日の煮魚の残りと今朝のお弁当のきんぴらも乗っけといたよ~~』な雰囲気なのである。

で、お味は基本的には薄味でやさしい。ポークソテーのソースとカボチャとさつまいものサラダが美味しかった。マンゴープリンもマンゴーをたっぷり使ってあり濃厚なお味。
美味しくてお値打ち感のあるメニューに人気の秘密を見た。

後で知った事だがお料理はすべてはるみさんが誌内発表済みの物ばかりで、HPには出所が明らかにされているので、家庭でも再現出来るメニューという訳。
はるみさんの季刊誌、『すてきレシピ』は私のおもてなしのお手本。おもてなし歳時記という記事を毎号楽しみにしている。因みに今週のおもてなしMyTable・・・・。お題は『小さな秋』 。はるみさんにあやかってゆとりの空間になってくれていたらいいな・・。
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by lime2005 | 2005-10-08 22:58 | 寄り道

秋ワイン・・・

暫く更新できなかった理由はモニターの故障。とりあえずの応急処置で何とかPC生活復活。皮肉にもこの一週間で、思いの他ネットが生活の中に深く入り込んでいることを確認した。と言っても仕事で使うのは調べ物ぐらいだから、ほとんど余暇の部分の影響ですが・・。

ちょっと気を取り直して、
秋の味覚にピッタリなワインを最近行きつけのワイン屋さんで購入。アルコールは基本的に弱いがワインとビールだけはOK。どちらも食事が美味しくいただけるから・・。今回のお気に入りはこの3本。
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左から果実みたっぷり、フレッシュでコシの強い『キュヴェ・ドール』焼き魚の友だな・・。サンマの塩焼きも美味しいけれど、幽庵焼きも捨てがたし。かますの塩焼きなら更に・・。
センターがコート・デュ・ローヌの赤『ドメ-ヌ・ルウ・フレジョウ』店主にパエリアにあう軽めの赤・・と注文したら奨めてくれた。
右はコート・デュ・ヴァントゥ(ローヌ地方)の『ブラン・レ・ロシニーョル』 我が家で『ツバメさん』と呼ばれるようになったまろやかな、和食にぴったりな白。今週の来客おもてなし用。


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普段のワインはネットで箱買いしたり、最近はスーパーにもワインが並ぶようになったので、買い物のついでに買うことも多いけれど、ちょっと改まって飲みたいワインは最近ここばかり・・。
鎌倉にあるワインショップ『deux mille deux』ドゥ・ミル・ドゥ

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以前ワイナリーにお勤めの店長の柴本さんがとてもワインに詳しくて、こぼれ話をたくさん聞かせてくれる。
鎌倉の御成町という古い商店街の一角にあって、南仏のリーズナブルのワインが中心の品揃え。ワイングッズは眺めるだけでも楽しい。

ここの店を知ったのはあるブログで紹介されていたから。何と初めて店を訪れたその日にそのブログの主、高味氏にばったり遭遇・・。運命の出会いだと思った。お名前も顔写真もブログで公開されているので、鎌倉界隈では時々声をかけられるとか・・。お会いして初めから懐かしい感じがしたのは亡き父の出身校で、同じ美術の先生だったこと・・。
ブログのファンだと言うことをお伝えしたら、ちょっとてれ笑いを浮かべていらっしゃった。ちなみにブログは1日に1000アクセスを超える人気サイト。
柴本さんと高味氏のブログで学ぶことはワインの他にも多い・・。
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by lime2005 | 2005-10-03 03:33 | お料理