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桜と櫻・・・

桜の国にサクラの季節が訪れた。
私にとってさくらの木は2種類、『桜』と『櫻』に分類されている。
お花見弁当をいただきながら家族や友人と春爛漫を味わう『桜』と・・・
花を見上げた時、ふうっと不安がよぎり憂鬱な気持ちが満ちてくる『櫻』・・・
どちらも同じくらい好きですが・・。

今週の日曜日、小田原にある『櫻』を訪ねた。
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箱根登山鉄道の『入生田(いりうだ)』駅から山に登ること20分。長興山紹太寺の山門を抜けて長い石段を登り詰めた旧伽藍跡の奥庭に330年の間咲き誇っている古木である。
ソメイヨシノよりずっと儚いピンクで、花びらも小さい。エドヒガンザクラだそうだ。

初めてこの櫻を目にした時、瞬間『怖い』と思った。
そして、
櫻の樹の下には屍體が埋まつてゐる!
と言い放ったデカダンスな作家の心理が少しだけ理解できた気がした。

長興山の枝垂桜を見たいと思ったきっかけになった絵が横浜美術館にある。
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神奈川県の郷土画家、近藤弘明氏の『霊桜』である。
間違いなく長興山の枝垂桜をスケッチして描いた・・と図録にはあるのだが、美しい櫻の姿を借りて彼の彼岸の心象風景が描かれていると思った絵である。
こんな絵を描かせた木は『櫻』に違い無いのである。

桜と櫻、あなたはどちらの風景でお花見するのでしょうね!?
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by lime2005 | 2006-03-28 14:10 | 日記

風光る・・・

春の訪れを告げるのは空の明るさと軟風だろう。俳句の季語にもなっている風光る・・とは春風の気韻生動を強調した大好きな言葉である。その風がゆっくりと風車を回し始めた・・・。
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この風車に気付いたのは昨年暮れ。高さが70m、地上から翼の先端までは110mもの高さになるので、かなり離れた位置からでも観察する事ができる。我家からは海に向って徒歩10分。
横浜市金沢区、臨海にある三菱重工場内に施工された国内最大級の風力発電の風車である。このモデルはまだ試験機だが、年間約600万kWh、約1,200世帯分に相当する発電を目指しており、これにより石油換算で年間1,400キロリットル(ドラム缶約7,200本)相当の節約、CO2排出量にして約4,200トン相当の削減が可能となるらしい。これは29万本の杉の木の吸収するCO2を削減できる量である。(計算が間違っていなければ・・・)
また特徴として3m/s以下の風見鶏を揺らす程度の微風でも発電可能だという。

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 風力発電は、地球温暖化防止を担う再生可能エネルギーの主役として世界的に導入拡大が続いていて、先進国はデンマークとドイツ。日本も現在745基の風車が稼動、年間の68.4万kwの電力を作り出している(2004年度三菱データー)というのだから、環境保全のシンボリック的存在から本格的な売電ビジネスへの未来が開けつつあるといっていいだろう。
風力発電の基礎知識はこちら(風車の基礎知識をクリック)
←つねに風上に翼を向けるのでこの日は海に向って立つ。風車を抜けてくる風がきれい。

無公害で電力を提供し続ける風車の雄姿に暫し惚れ惚れ。ふとこんな詩が浮かぶ。作者は虚子の次男。閃きは春のひかりのひらめきと共に人間の叡知をも詠っているよう...。

      風光る閃めきのふと鋭どけれ
                                           池内友次朗 
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by lime2005 | 2006-03-15 18:30 | 日記

生涯現役・・・

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先月母と銀ブラした時に母がとても気に入っていた和光のショウウィンドウ。中に一体だけ全身チョコレートのビーナスが。バレンタイン仕様と思われるが、微妙に置く角度を変えてあるので動画のスローモーション効果の様だと喜んでいた。
その母が突然生涯現役宣言。ボランティアで通っていたケアセンターからぜひナースとして働かないかと依頼を受けたのだと電話口で息を弾ませて打ち明けられた。
つい先週末娘が数学と決別したと思ったら、今度はその祖母が73歳で専業主婦との決別である。戸惑う娘・・。

私は父を幼くして亡くしたので、母が女手ひとつで育ててくれた。幸い母には看護士という職業があったので親子2人が生きていくのに不自由は無く、その後弟の父と再婚、離婚という紆余曲折を経て65歳の誕生日を迎える日まで40年間ナースとして勤め上げた。
その最後の出勤日の安堵感は忘れられない。やっと仕事と子育て、両方から解放されて自分自身のための時間が持てる母に心から『お疲れ様』を言った。

40年間、きっと凄いプレッシャーとストレスの毎日だったと思う。その現れが夕食時に母から聞かされる生々しい勤務の実況報告。特にオペ室に勤務していた期間は辛かった。母には日常風景となっている外科手術の現場や人の生死。『今日の執刀ドクターはメスを持つ手に切れ味が足りなかった』とか、『今日の縫合なら自分の裁縫の腕の方がマシ』とか、ドラマ『ER』さながらのオペシーンが毎食毎に目の前に広がるのである。
弟とは『姉貴から言って止めさせてよ』『長男なんだから貴方から言ってよ』とお互い押し付けあったがついに何も言えず、そのうち小児科に転属になった時は涙が出るほど嬉しかった。
母としては夕食時が唯一家族とのコミュニケーションの時間と気負い過ぎていたんだろう。
病院という人の生死がかかったギリギリの感情の行き交う場所ではそのドラマとストレスも計り知れないものがあるとその時感じた。それを家族に吐き出すことでリセットしているとも。
だから余計65歳の『お疲れ様』には深い感謝を込めたつもりだったのに・・・。

看護学校を卒業して勤務第1日目に列車事故があったそうだ。緊急外来に配属された母は医師数人と共に現場に急行。バラバラになった遺体を泣きながら拾い集めて思ったそうだ。『それでも、やらなきゃあ』と。私ならその場で『謹んで免許をお返しします』だっただろう。やはり初めから貴女は強かった。

生涯現役、私もできればそうありたい。それは職業を持っているとかいないとかとかではなくて、最後まで精神的に一人で立つことビーナス7体分ぐらいの強くて、しなやかな生き方だと思う。
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by lime2005 | 2006-03-08 08:10 | 日記

ベルリン・バロック・ゾリステン・・・

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ベルリンフィルのメンバーによる弦楽アンサンブル、ベルリン・バロック・ゾリステンをミューザ川崎で聴いた。

ライナー・クスマウル(ヴァイオリン・音楽監督)
ヴォルフラム・クリスト(ヴィオラ)
ゲオルク・ファウスト(チェロ)

アルブレヒト・マイヤー(オーボエ)

  ****purogram****(1F-2列18)

ヘンデル:オラトリオ『ソロモン』第3幕より
              『シバの女王の入城』
マルチェッロ:オーボエj協奏曲
ヴィヴァルディ:『調和の霊感』より 2つのヴァイオリンのための協奏曲
ヘンデル:オーボエ協奏曲
 -------intermission---------   
パッヘルベル:カノンとジーク
J.S.バッハ:管弦楽組曲第3番
テレマン:ヴィオラ協奏曲
J.S.バッハ:オーボエとヴァイオリンのための協奏曲
---------encore----------
ヴィヴァルディ:オーボエとヴァイオリンのための協奏曲より 第3楽章
J.S.バッハ:カンタータ『泣き 嘆き 憂い おののき』

暦が弥生に変わったこの日、低気圧の通過で一日中冷たい雨が降るなか川崎に急いだ。
開演時間に20分遅れて着席した為、始めの2曲を聞き逃した。駅から小走りしたので息を整えつつ耳に流れ込んできたのがヴィヴァルディ。音楽監督のライナー・クスマウルさんの独奏バイオリンがバックの合奏と会話するように掛け合いながら音が生れる。なんて心地良い演奏。
チェロとチェンバロ以外は全員立って演奏するのがここのスタイルらしい。
それに解説によるとバロックのアンサンブルはオリジナル楽器を使って演奏するところも多いが、ここはモダン楽器を使いつつ、ガット弦や調律、様々な時代の弓を駆使してそれぞれの時代に実践されていた演奏を再現するのがスタイルのようだ。

次の曲は一番期待していたヘンデルのオーボエ協奏曲。ずっと待ち望んでいたベルリン・フイルハーモニーの主席オーボエ奏者、アルブレヒト・マイヤー氏。長身痩躯、ここ数年のアルバムの写真より伸びた亜麻色の髪をなびかせて颯爽と登場。CDではもう何度も聴いたマイヤー氏のオーボエの音色だが生はもっと柔らかくて艶っぽい音。歌わせるように音が紡がれていく。やはり凄い!これが世界最高峰のオーボエの音色なんだと思うと震えが来る。

バロック音楽は好きだけれどどちらかというとリラックスしたい時に聴きたくなる。でも彼らのバロック音楽が目指しているものは癒しなんかじゃない気がした。最高のテクニックとアンサンブルに見え隠れするものは何か挑みのような力強さ。セピア色に染まった写真が少しづつ鮮やかな色を取り戻すかのように意識が動く。

ゾリステンの古くて新しい音楽に惜しみない拍手を!そしてマイヤーさんの流麗なるカンタービレにブラボー!!!
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by lime2005 | 2006-03-03 20:44 | 音楽

娘とランチ・・・

『母よ!今日はお祝いするから美味しいお昼ご飯作っておいて・・』と言い残して例のごとく遅刻すれすれに家を出た娘。今日は定期テストの最終日のはず。日頃留守番させる事が多くて昼食をゆっくり一緒にとる事も少ないのでちょっと頑張ることにした。
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ペペルルのバゲットを薄くスライス、ガーリックオイルを塗ってオーブンで軽く焼きクロスティーニを作る。具は5種類、人参とささみのサラダ、フルーツトマトとバジル、アボガドとクリームチーズ、ポテトサラダとアンチョビ、それにブルーチーズ。
ここまで用意するとワインが無いとね! 昨日の飲み残しのゼクト。娘はハーブティー。サラダはサラダほうれん草と春大根をグレープフルーツのドレッシングで合えた。デザートにドライフルーツスティック。これもペペルル製。

待つこと3時間、何だか晴れ晴れした顔で娘がご帰還。
『ところで、何のお祝いなの?』
『決ってるじゃない、数学との決別の日よ!!!!!』
『何のこっちゃ?』
『だ・か・ら今日で微分積分やな気分と永遠にさよならなのさ!』
つまり、一応文系に進む娘が数学の教科書を開く最後の日だったというわけらしい。お祝いしたいぐらい嫌いだったということだろう。そう言えば、小3ぐらいまで足算、引き算は指で数えていたっけ。『足の指を足して総動員させても20しかないからね!お母さんのは貸してあげないよ!』とよくからかったなあ。ほとんど赤点すれすれ、超低空飛行科目だったけれどよく頑張ったよ!

私にも憶えがある。最後の卒業試験の日の、胸のつかえが取れて一瞬重力さえなくなったんじゃないかと思うほどの身軽さ。
でもね、何かと決別した後は必ず次の出会いが待っているものだよ!それが君にとって新たな試練になるかどうかは判らないけど、受け入れなきゃいけない日がきっと来る。哀しいけど人生それの繰り返しなんだよね。

『ところで試験はどうだった?』
『それが実はあんまり・・・』
えぇ~っ!!単位不足であと半年補習になっても、もうお祝いしないからね!!!!!!
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by lime2005 | 2006-03-02 15:59 | 日記