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頑張れ!日本のワイナリー・・・

休んで楽した分はきっちり後から返ってくると、、わかっていても(笑)
遅くなりました、、、ワイナリーレポ。

今回訪ねたワイナリーは50を下らないと言われている日本のワイナリーの中でも比較的大手の山梨県甲斐市にあるサントリー『登美の丘』ワイナリーと長野県小諸市にあるキッコーマンの『マンズワイナリー』の2箇所。
どちらも見学を予約して置けば約30~40分のコースで自家葡萄畑~醸造所~ワインセラーの見学と試飲ができて、日本のワイン作りの片鱗に触れることが可能。


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まず『登美の丘』ワイナリーであるが、約100年の歴史或るワイナリーで山梨県甲斐市の富士山を東側に望む丘陵地に位置する。
正面ゲートを入ると真夏なのにヒンヤリと感じる醸造棟が現われて、ヨーロッパのシャトーを思わせた。ワインは絞った葡萄果汁を酵母菌でアルコール醗酵させた飲み物だが、此処には良い酵母が生息していそうな感じ。
音楽ホールでは大変お世話になっているメーカーだけに、イメージを大切にしている感じを受けた。サントリーと言えばウイスキーと擦り込まれていたせいか(ひと昔前のCMは斬新でしたね~)、創業はワイン作りと聞いて意外だった。



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予約時間に受付を済ませると30人程の見学者で葡萄栽培とワイン醸造の簡単なスライドを見せてもらった後、醸造棟、地下セラーを見学をする。季節柄、醸造タンクは空、ワイナリーは秋の収穫時期に向けて小休止状態だったが、貯蔵庫で静に眠りながら熟成を続けるワインを拝見し感激した。

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山の斜面を掘って作られた地下セラーは真夏なのに15度ぐらいに保たれていて、半袖では肌寒く感じた。1995年のビンテージが見えた。もう9年眠りに着いている。作りたてをすぐにいただくと美味しいボジョレーを代表する新酒を除いて、殆んどのワインはセラーで寝かし熟成され開栓の時を待つが、どのワインをどれだけ寝かすかが作り手の腕の見せ所のようだ。


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醸造棟のある場所から葡萄畑を左右に望みながら丘に登ると、甲府盆地を一望できるビュースポットに出る。
そこに広がるのは、日本の何処でも見られる葡萄棚で、メルロー(赤ワイン用葡萄)が鈴なりに実っていた。食用の葡萄に比べると実が小さくてぎっしりついている。
葡萄は皮の側が一番糖度が高いので、実の数が多いほど良く、食用の葡萄に比べると甘味が強い。後少しすると葡萄を剪定して数を減らすことで、更に一つの枝の糖度を上げるそうだ。究極は食べて美味しい葡萄こそが美味しいワインに向くのだそうだ。
そこでちょっと意外だったのは葡萄の木は他の植物や作物が生育しないような痩せた土地が最適という事。根を深く張って水分やミネラル分を吸い上げる為には肥えた土地では不向きとか。目からウロコ~。



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ワイナリー内の蛇口も茶目っ気たっぷり!!!
ここからワインが出てきたら凄いよね・・・とわざわざひねってみる娘。
(な、わけが無い!でも美味しい水でした!)

登美の丘はその名の通りの美しいワイナリーだった。
名前がそのままワインになった『登美の丘』を試飲する。
いつも個性的なフランスのワインばかり飲んでいるせいか、
優等生で主張控えめ。でも色、香り、味共に及第点の美味しいワインでした。




次に訪ねたのはマンズワイン『小諸ワイナリー』こちらは小諸市内の北西部に、南斜面の丘に位置したワイナリーでゲートを入るとリースリング(白ワイン用葡萄)の畑が左手に、右手に日本庭園が広がり、その奥に醸造所があった。
見学はほぼ同じ内容だったが、高温多湿の日本でのワイン作りがいかに大変で難しいかをざっくばらんに語ってくれたところに好感を持てた。


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ヨーロッパで見たいくつかのワイン用葡萄畑はどれもが人の背丈より低い木で、棚は無く支柱が何本か添えてあるのみだった。これは人が収穫し易い位置に葡萄が実り、土から近い事で栄養分が良く行き渡り味の濃厚な葡萄が収穫出来るとの事。
一方日本では夏の長雨で葡萄の木に病気が出易いため、棚にして上部を葉で覆い雨から実を守る為と湿った地面から出来るだけ遠ざけることで腐敗を防ぐのだそうだ。


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ワインボトルの栓として使われるコルクはこのコルク樫の木の皮を剥ぎ、形抜きして使われるそうだ。地中海西部のポルトガルやスペインの一大産業にもなっていて、一番外の皮は質が良くないので建材などとして使われるとか。

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開栓した時いつもワクワクするコルクのデザイン。
奇麗で捨てられないので増える一方だけど。


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こちらは広場にあったモニュメント
TINAHA(ティナハ)といいます。スペインのラ・マンチャ地方で今でも使われている醗酵、熟成用の素焼きの甕だそうだ。先端が尖っているので土中に埋めて使うのだろう、澱が先端に貯まって奇麗に醗酵がすすむのだそうだ。何だか美味しそうではございませんか、機会があったら味わってみたい、ティナハ熟成のスペインワイン。




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こちらの巨大タンクは現役の熟成タンク。グラスライニングタンクというらしい。
内側はホーローにグラスファイバーが吹き付けてあって、魔法瓶のような構造。高品質が保てるようにタンク一つで65000本分のワインが一度に醗酵、熟成できるそうだ。フルーティさを味わう若いワインはこのまま瓶に詰められる。


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ワインは樽に入れて熟成させるものもあって、樽(ホワイトオーク)の柔らかい香りと色をつけるのが目的。その樽の内側の焼き具合で香りが変わってくるという。また新しい樽と使い込んだたるでは香りのつき方が変わる。
私にはほんのりバニラの香りに思えるのが樽香な!?と最近思う。
どのワインをどの樽にどれだけ入れるか、これが作り手の腕の見せ所らしい。




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工場見学で試飲しまくった結果選んだこの一本。
マンズワイン『SOLARIS』2001、メルロー100%
重すぎず、軽すぎず、微かな樽香に豊かな果実みがブーケとなって広がる。きりっとした渋みが上品で余韻もばっちり。国産ワインもここまでやるのね!とすっかり虜(笑)

ワインは葡萄の品種によって、またその産地で、年々の気候条件で、一つとして同じ物を口に出来ない一期一会の飲み物。
まだまだ醸造の歴史は浅いけれど、頑張れ!日本のワイナリー!!! 
 

この次はぜひ新潟にあるCAVE D’OCCIワイナリーを訪ねてみたい。

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by lime2005 | 2006-08-29 00:58 | 日記

2006なつやすみ・・・

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短い夏休みを山で過した。
群馬県嬬恋村。
雄大な浅間山を背に、牧場と農家と野菜畑がゆったりと広がる村。
台風の通過に伴う悪天候で、
天気は変わりやすく蒸暑かったけれど、
もう山は夏に別れを告げる季節が近づいていて、
最後の夏の氾濫を五感で味わった。
散歩と、読書と昼寝と料理。
他は何にもしない・・・・。


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この道をのんびりと散歩。
時折聴こえる小鳥のさえずりに・・・
D.H.ロレンスの詩が浮かんだ。


 自己憐憫

野性なるものが 自らをあわれむのを
私はみたことがない。
小鳥は凍え死んで枝から落ちようとも
自分を惨めだとは 決して思わないもの。



死にかけた小鳥が教えてくれるものを森で考えよう。



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  もぎたてのこんな野菜達で料理。


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ズッキーニは切っているそばから切り口から水分が滴る!!
この素材でまずいものが出来る訳が無い。




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ここがもう5年目になる山のキッチン。
我が家よりずっと使い勝手が良いので、
毎年オーナーに同じ場所をお願いして借りている。
森を眺めながら料理できる最高贅沢空間。

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この日の夕食、ワインとチーズとパンと野菜。
ちなみに切っただけ、、、、(笑)



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途中、山梨県と長野県にある小さなワイナリーを訪ねた。
カベルネ・ソーヴィニヨン、メルロー、シャルドネ、リースリング、ミュラー・トゥルガウ・・・・
普段飲んでいるワインはどんな葡萄で作られるのか、一度姿を見てみたい、、、との思いで訪ねたワイナリー。
葡萄畑の畝に降り注ぐ太陽が葡萄の糖度を上げていく。
まだ葉陰に隠れた房が暗青色になって甘い香りを放つ頃、葡萄たちが黄金の液体になるべく摘み取られる。
(ワイナリーレポに続く・・・)
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by lime2005 | 2006-08-19 01:38 | 日記

ベアンド・ジーフェルト氏の至芸・・・

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先のサッカーワールドカップドイツ大会開催中、本国で世界中のVIPをオリジナルデザートでもてなしたパティシエ、
ベアンド・ジーフェルト(Bernd Siefert)氏のデザート講座に参加した。


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場所は横浜そごうの茶語(Cha Yu)。来日の予告を受けたのは半年前だったが、今回は急な来日とあって連絡を受けた翌々日の参加となった。<主宰はハブティ-の日本緑茶センター(株)>
初めて会うジーフェルト氏は190cmの長身、優しい笑みを絶やさないユモアーたっぷりの語り口で参加者を魅了した。
フランクフルトから南に車で30分の古都ミッシェルシュタッド(Michelstadt)で6代続くカフェ・ジーフェルトのオーナー&パティシエである。ちなみにドイツ国民が皇帝と称するベッケン・バウアー元監督も彼のデザートのファンだとか。

今回教えていただいたメニューは
           ラベンダー蜂蜜とビターチョコを使ったプロバンス風チョコレートデザート
           抹茶とピスタチオのソフトクッキー
           タイムとオレンジのシガール

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彼のデザートの特徴はハーブを初めとした体に良い材料を使う、美味しくて奇麗で健康的なお菓子。副材料にフルーツやナッツ類も多用される。

『健康』は現在の食産業におけるキーワード。ハーブを使ったデザートに新しさは感じないが彼の使い方には個性を感じた。

渡されたレシピにはキャラウエイのクッキーとあり、それが当日オレンジとタイムのシガールに変更された。こんな事はよくある事と言い切り、ドイツで考えた時はアラビアのスパイス、黒クンメルのクッキーだったとか。発想の柔軟さを感じる。
黒クンメルについて質問をすると、アラビアのパンやお菓子には欠かせない香辛料で体の調子を整える万能薬でもあると言う。残念ながら日本では手に入らないのを知り、諦めたとか。

香辛料やハーブについては深い知識と経験をお持ちで、現在は中国スパイスに魅せられていることが話しぶりから伝わってきた。
ハーブの組み合わせと使い方の質問については
キャラメル×山椒の実(おそらくホワジャン)×白ワイン
赤唐辛子×マンゴー
ピンクコショー×パイナップル
ゼラニューム(ヴェルベーヌ)×ミルクチョコレート...と果てしなくでて来るのに驚く。

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デモンストレーションを終えて試食タイム。
ラベンダー蜂蜜のパンナコッタにビターチョコのムースが憎らしいほど合う。
ほのかな酸味のアンズのラベンダー蜂蜜漬けの上には噛む楽しみにと添えられた揚げ春雨とメダリオンチョコ。
凍らせた鉄のパイプにチョコを垂らし、中国で買求めた篆刻を素早く押し付けたメダリオン。
そのうちオリジナルの篆刻を作りたいのだとか。

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抹茶とピスタチオ風味のデザートは材料を全て混ぜてシリコン型に流すだけ。
こんな難しいデザートは無いよ!と軽快に笑いを飛ばしていた。
フレッシュラズベリーの下には甘煮のオリーブが埋め込まれている。
中国ではオリーブを甘くしていただくことがヒントになったとか。

デザートに大切なのはまず味、そして体にいい事、形は優先されるべきではない、、、と言い切るシェフのデザートは美術品のように斬新で美しい。

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会食後、購入した本にサインをしていただいたらメッセージを書き留めてくださった。


  良いデザートを作るためには、
  良い人生を送るのと同じように、
  “良い素材”が必要です。
         Bernd Siefert


 いつか大天使ミカエルの町、Michelstadtにジーフェルト氏を尋ねたいと思う。

 追> 甘味が苦手な方には辛い記事だったことでしょう~~失礼。 
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by lime2005 | 2006-08-07 01:43 | お菓子

天守物語・・・

先週の週末、Tさん御夫妻と歌舞伎を鑑賞した。歌舞伎座へは実に16年ぶり2度目。
きっかけは『両性具有の美』というテーマの怪し(?!)く盛りあがった(笑)某BBS。
演目はTさんがチョイスしてくれた泉鏡花の『山吹』と『天守物語』
玉三郎×海老蔵のプラチナカップルにいやが上にも期待が高まる。

当日、銀座三越前で待ち合わせ。Tさんお奨めの幕の内弁当(美味堪能)を地下で調達して歌舞伎座まで徒歩5分。開演まで館内を案内してもらうが、吹き抜けのエントランスを左奥に入るとお祭の夜店かと見紛う屋台がずら~り。歌舞伎座というとオペラ同様、敷居が高いイメージがあるので、辺りの芝居小屋の雰囲気に肩の力が抜ける(笑)

『山吹』は現実逃避した若い人妻と過去に傷持つ人形遣いの老人の邂逅を描いたシリアスなセリフ劇。若き日の玉三郎を彷彿させる笑三郎が縫子を熱演。舞台に咲き乱れる山吹の鮮黄色が最後の望みを絶たれて絶望する縫子に照り映えてコントラストが美しかった。

『天守物語』は鏡花の劇的世界炸裂の魅惑的な演目。白鷺城(姫路城)の天守閣に住む妖女と、反逆罪に問われ追われた武士の禁断の恋がストーリー。
妖女、富姫に玉三郎、鷹匠の勇敢な青年武士、図書之助に海老蔵とこれ以上のキャストが考えられないと思えるほどのはまり役だった。
妖怪という自由を謳歌する存在が自由を失った人間を救おうとして生れた恋。
しかし図書之助に迷いが生じた時、富姫は『まだ貴方は世の中に未練がある、お帰りなさいまし』と決して束縛しようとはせず、鷹匠である図書之助に『鷹は誰のものか、鷹には鷹の世界がある。決して人間のものではない。そのことが理解できたら夫になって』と説く。何処までも妖怪の世界には自由がある。

   その部分の富姫の台詞に心打たれる。

否、否、かどたて、言籠(いいこ)めるものではありません。
私の申す事が、少しなりともお分かりになりましたら、あの其(そ)の筋道の分からない
二三の丸、本丸、太閤丸、廓内(くるわうち)、御家中の世間へなどもうお帰りなさいますな。
白金、黄金、球、珊瑚、千石万石の知行より、私が身を捧げます。
腹を切らせる殿様のかはりに、私が心を差上げます。私が命を差上げます。
貴方、お帰りなさいますな。


視覚的な美しさに目を奪われる反面、台詞の美しさが際立つ。
鏡花は原稿を書上げる時に必ず音読して仕上げたと言われている作家。
実際定本にはどの作品もルビ(読み仮名)がふってあって、言葉の響き(サウンド)を重視していた事が伺える。
ご一緒したTさんは『泉鏡花の劇は、セリフが音楽的で歌うよう』とおっしゃっていましたが、私もそこに魅力を感じた。
その音楽のような台詞が年齢的にも円熟の境地に達している玉三郎からさらりと吐かれ、若さが咲き誇る海老蔵からは熱を帯びて降り注がれる素晴らしい舞台を経験した。

両性具有を超える人妖具有の怪しくも悠々たる世界。
『人間の住みかは所詮妖怪に廂を借りているに過ぎない』という鏡花ワールドに暫し遊んだ。
歌舞伎、はまるかも・・・。
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by lime2005 | 2006-08-01 06:30 | 寄り道