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9月が終る・・・

忙しくてあっという間だった9月が終る、、、
今月は幾つかのアクシデントに見舞われた特別な月だったと思いたいが、思い返すと毎年気忙しい月であるようだ。季節が大きく動く月なので家事もそれなりに雑用が増えるし、夏休み明けの学校行事も何かと多い。だからと言って何かをしたという充実感は得られないのが悔しい。

幸田文さんのエッセイ『季節のかたみ』には『9月は手練手管にまどわされそうになる月』とあって、なるほど言いえて妙と思った。
『目前のことにまどわされず、物事も季節もしっかりと足の下に踏み敷く気でいなければ9月という月は扱えない。さんざ手を焼かせて、あっさりと逃げていく、徒(あだ)な恋のような、そんな手練にのせられたのではかなわないと思う』
とあって、笑ってしまった。文さんのようなしっかり者でも持て余した月なんだと安堵する。

教室ではもうすっかり秋のメニューである。

  栗おこわ、茸の揚げ出し、吹き寄せご飯(まだ銀杏が翠で綺麗)
  さんまのしょうが煮、春菊と黄菊のみぞれあえ、ずいきといちじくのくるみあえ、、、、

さんまは今月の初めの頃のはまだ身が締まっていて味はあっさりと淡白な感じだったのが、つい先週末にはもう脂の乗った秋さんまが届き始めた。クチバシの先が綺麗な黄色になっていて、頭のところがぷっくり盛り上がるように膨らんでいる、、これが脂の乗り切った合図。
塩焼きも美味しいのですが、筒切りにしたものを少しの酢を加えてしょうが煮にするとまた格別の美味しさ。
秋の食材は心が安らぐ喜びがあるように思う。

さあ~~10月こそは季節をしっかりと足の下に組み敷いて、深まる秋を満喫するぞ~。
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by lime2005 | 2006-09-25 13:06 | 日記

ダーチャが欲しい vol.2 ・・・

無いものねだりの『ダーチャが欲しい』続編はロシア料理つれづれ・・・

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本の表紙のスープ、私が作るとこうなる。あら?気のせいか控えめ!?
でもでもです。桜でんぶの蛍光ピンクを初めて見た日以来でしょうか、、、このスープの視覚的な驚きと動揺は(笑)
いただくとビーツの食感とキリットした酸味の利いたスープが盛夏に美味しい一皿である。

ボルシチは発祥がウクライナの家庭料理なので、日本の味噌汁と思っていただいたらいいようだ。家庭の数だけボルシチの味が存在するのだろう。ちなみに、この冷たいボルシチは冷汁といったところか(笑)ビーツを茹でる以外は火を入れないで作れるのが夏には嬉しい。

そしてお馴染みのピロシキはおにぎり的存在で具や作り方もそれぞれ。そして大きさによってピローグ、ピロシキ、コルデゥヌイ、ペリメニと名前が変わるそうだ。油で揚げるものとばかり思っていたら、焼いただけの物の方が多く食べられているそうだ。そして具の方はというとお馴染みの牛挽肉の炒め物はほんの一例に過ぎず、じゃがいも、キノコ、野菜から果物まで様々な具(ナンチカ)を包むのだそう。

以上、日本人なら誰でも知っている代表2品でさえこんな有様である。
まだまだその奥に広陵として広がるロシア料理に益々興味が湧いてくる。

次に目を引いたのがクヴァースというライ麦(一説には麦芽も)で作った発泡性飲料。ロシアの夏には欠かせない飲み物だそうだ。
そう言えば、以前西本さんがオペラ『エウゲニー・オネーギン』の前奏曲を指揮した時がきっかけで読んだプーシキンの原作には、オネーギンの恋人タチャーナの家庭の食生活が鮮やかに描かれていたのを思い出す。そこに『クワス』という飲み物があったが、これが訳し方でクヴァースになったのだろう。
プーシキンはペテルブルグの貴族御用達の高級レストラン(当時の流行の最先端)と古い伝統を守りつつ平和な暮らしを送る田舎地主の食卓を鮮やかに描き分けていたのが印象的だった。
(後に対立する西欧派とスラブ派の予兆とも取れる)

そういった意味ではご紹介したこの本は『タチャーナの古き良き食卓』を再現した一冊とも言えるだろう。
荻野さんと沼野さんがこの本を編纂した共通の思いが、『桜の園』で干しさくらんぼうのレシピが忘れ去られる事を嘆く年老いた従僕のフィールスの気持ちに重なる。それほど現在のロシアは食生活においても驚くほどの変化を遂げつつあるようだ。

料理を担当した荻野さんは料理教室の主宰でもいらっしゃる。機会があったらぜひお会いしてみたい一人である。
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by lime2005 | 2006-09-20 06:26 | お料理

ダーチャが欲しい vol.1・・・

今年の夏は様々なロシア料理にチャレンジした。いいレシピ本を手に出来たからである。
でも夏にロシア料理?と思われている方は多いのでは。
ボルシチやピロシキに代表されるロシア料理って厳寒の冬を乗り切るコッテリ料理というイメージがあるから・・・。

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家庭で作れるロシア料理』荻野恭子、沼野恭子共著(河出書房新社)は、最新にして最強のロシア家庭料理本と言っても過言じゃない自信をもってお奨めできる一冊である。
料理を荻野さんが、エッセイを沼野さんが担当して、読み物としても大変面白い。

まず特徴としては『ダーチャ』についてかなりのページを割いている事。
ダーチャとは某会員制『夢の入り口』・・・では・無・く・て、
ロシア人の多くの人が所有する菜園付きセカンドハウス』の事である。
正直この本を手にするまでは私はダーチャの本当の存在意義を解っていなかった。

モスクワやサンクトペテルブルグなどの大都会で暮らす人々は金曜日の仕事を終えたら郊外のダーチャで野菜を作り、キノコ狩りや川遊びをして週末をのんびり家族と過ごす時間を何より大切にしている。
著者もモスクワの友人に会う約束をしようとすると『土日はダーチャに行くから別の日にして』と言われるそうだ。
都会の利便さや文化は手放さずに自然との共有も手にする、凄く合理的で羨ましい生活である。
夏の菜園で摂れたダーチャの恵の味付けは殆んど塩と香辛料と様々なハーブだけ。これが体に染み渡るように美味しいのである。
勿論、ピロシキ、ボルシチ、きのこのつぼ焼きと言った伝統料理も網羅し、中央アジア(カザフスタンやウズベキスタン)やコーカサスの地方料理も幾つか紹介されている。更にエッセイでは現代ロシアの抱える問題についても鋭く触れている。

皆様はチェーホフの『桜の園』は読まれた事があるだろうか、、、あの戯曲のなかで地主である女主人公のピンチを元下男の男が『土地は売らないで別荘として分轄して貸し出したらどうか!』
と提案する場面があるが、沼野さんの指摘で初めて『おおぉ~あれがダーチャだったのか』と気付いた。古典の新訳ブームなので、ぜひこの部分は今後は  別荘 → ダーチャと訳してして欲しいな!!
その後、男の提案を無視したばかりに競売にかけられた土地を、裕福な商人となった元下男に競り落とされ、庭の古い桜の幹に斧を打ち込む音(ロシア革命の前兆)と共に幕、、、という貴族の斜陽を描いた美しい戯曲でしたね。

ロシア人は革命の最中にあって食べる物も事欠く状況の中でも、詩の朗読会は熱気溢れるものだったとか。
パンより詩、、それがロシア人のメンタリティの象徴だった、、と沼野さんが後書きで触れていらっしゃいますが、ダーチャはそれを現代においても具現できる場所じゃないかと感じた。

    ああぁ~ダーチャが欲しい!!!
        


                                      料理編に 続く・・・・
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by lime2005 | 2006-09-10 06:45 | お料理

Cosuta del sol ・・・

暫らく更新が滞り気味には訳があって、只今Limeはスペインの太陽海岸(cosuta del sol)で休暇中~。
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だったら、どんなに良かろう~(笑)
視力に自信のある方は左前方に浮かぶ島に朱塗りの鳥居を確認できますか!?
葉山の海岸沿いにある森戸神社の一の鳥居である。

久し振りに友人とドライブ&ランチ。
鎌倉で買い物をしてそのまま海岸線を真っ直ぐ南下すると『湘南一の眺め』と自負している森戸海岸に着く。晴れた空気の澄んだ日には伊豆半島~富士山~江ノ島~由比ガ浜~稲村ヶ崎~逗子海岸と夢のような眺望が出迎えてくれる。

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お目当てのスペイン料理『Cosuta del sol コスタ・デル・ソル』の正面に広がる海を眺めていると、スペインのアンダルシアのコートサイドにいるかのいい気分になれる。

建物は1階が駐車場、2階にはシーカヤックやダイビングのマリンショップ、更にNPO法人スクーバミュージアム葉山海洋研究所があり、レストランはその3階部分である。


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入り口脇の壁にはパラッシォ・デル・コルサーリォ「海賊の館」ロゴマークがありその意匠が白壁に映えて楽しい。
  →


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2Fにあるエントランス脇の狭い急な階段を上ると、店内全体がテーマパークのように飾りつけられていてオブジェに目がいく。
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どのテーブル席からも眼下に海原が広がり、さながら海賊船で密談しているかの雰囲気(笑)




さて、お料理である。目的は炊きあがるまで40分かかるというパエーリァなので、ジンジャーエールで喉を潤してサラダと前菜をいただきながら待つ。1年ぶりに会った友人なので話は尽きず、あっという間にメイン料理の登場。
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パエーリァが運ばれてきたらつい具の方に目が行きがちだが、本当の美味しさはご飯の味と炊き加減に尽きるのではないかと思っている。
パエーリァ鍋とご飯の境い目にご注目。きっちりおこげがついていて香ばしく焼けている上、ご飯が一粒一粒立っている。いただいてみると僅かに芯が残る炊き加減。魚介スープの旨味とサフランの香りが噛締める程に広がる、これぞパエーリァである。

鍋の名前がそのまま料理名になったこの料理は、スペインバレンシア地方の家庭料理で、最もオーソドックスな具は『パエーリャ・バレンシアーナ』といってカラコレース(蝸牛)と兎か鶏だというから驚き。
スペイン料理の代表のごとく言われ、山海の珍味を一堂に会せしめたイメージがあるが、海の幸豊富なアンダルシア地方に伝わって初めて魚介がプラスされたのであろうと想像。

魚介のパエリアの方のルーツはアロス・ア・バンダ(Arroz Abanda)と呼ばれて、具は何も入れずに魚介のスープだけで炊いたご飯の表面をオーブンで焼いて仕上げる料理。私が教室で教えているのもこれ。飾りにアサリを散らすだけのプリミティブなパエーリァであるが見た目より断然美味しい。

大きな声では言えませんが本場バレンシアで言われている
『漁師たちがルーの中へ魚をぶち込んでダメにする以前』の本物のパエーリァとは
米500g、兎と若鶏半分、豚の骨付きあばら肉250g、エンドウ250g、ピーマン、トマト、パセリ、ニンニク、サフラン、塩』材料はこれ以外は必要ないそうだ(笑)

パエーリァ対決 狩人VS漁師の様相・・・・・
気持ちは解るけれど、やはり海鮮の珍味がいいなあ~~。(漁師に軍配!)

ドライバーだった為スペインワインとシェリー酒がパスなのが返す返すも残念!!!!!

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デザートは
ソカレット(おこげ)に焼かれたご飯の微かな苦味と魚貝類の舌をさっぱりとさせてくれたカシスのシャーベット。

葉山海岸沿いの、前方からバスが来たらアウトな一本道を、ひたすら下手な運転に我慢が出来る方がいらっしゃったら、次回はぜひご一緒いたしましょう。
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by lime2005 | 2006-09-08 01:00 | 寄り道