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西江辰郎&アンダローロ

東京国立博物館・平成ラウンジにてヴァイオリン&ピアノ・デュオを楽しんだ。
 
  ヴァイオリン 西江辰郎 (新日本フィルハーモニー交響楽団・コンサートマスター)
  ピアノ     ジュゼッペ・アンダローロ

  ***purogram****

 モーツアルト   ヴァイオリン・ソナタ 変ロ長調 作品454
 ラヴェル      夜のガスパールより『オンディーヌ 』 
 アレンスキー   ヴァイオリンの為の4つの小品より『セレナーデ』  
 ファリャ(クライスラー編) スペイン舞曲        
         
----intermission----

 フランク     ヴァイオリン・ソナタ
         
----encore------

 まだこのコンサートは続いているので暫く秘密♪


やっと、やっと西江さんのヴァイオリンを真近で聴けた(感涙)
出会いは今年の4月の西本さん×新日本フィルの『シエーラザード』だった。

コンマスの奏でる『シェエラザードのテーマ』の独奏バイオリンの音に引きずり込まれるように迷い込むアラビアンナイトの寝物語。いろいろな演奏を聴いたけれど男のつれなさをかこつ女の閨怨が感じられるような名演奏だった。早速コンマスさん、今後の為にしっかりチェック&マーク!

という感想を4月にブログに書いてから、チェックもマークもしていたのだけれど何故かチャンスと思い切りが無く・・(笑)

モーツアルトのソナタが始まるとすぐにあの音が甦った。間違いなく西江さんのヴァイオリンの音色。繊細で透明感のある美音。ゆったりと余裕ある弓運び。アンダローロさんのパワフルなピアノと息がピッタリ。
2曲目はアンンダローロさんの独奏。ラヴェルのピアノ曲、夜のガスパールより『オンディーヌ』
会場の照明が落される。水底でたゆたう、静かな暗い情熱。アンダローロさんとピアノが幻想怪奇物語に浮かび上がる。

その後再び西江さん登場でアレンスキーとファリャが続く。ピアノとヴァイオリンが協調しつつ凌ぎあう音楽。ファリャなんて手に汗して聴いていた。
お二人の出会いは仙台。西江さんが仙台フィルのコンマス時代の2000年、第一回仙台国際音楽コンクールのピアノ部門第一位がアンダローロさんだという事だからもうコンビを組んで5年になるそうだ。この夏には二人でイタリアツアーもされたそう。

15分の休憩は友人とワインで乾杯~。
国宝級のお宝達がそっと眠りについた夜の博物館のコンサートも幻惑的でいいもの。ふと窓に目をやるとアンダローロさんの弾いた『夜のガスパール』の水精オンディーヌが立っていても不思議じゃないような、、、

で、後半のフランク。
・・・の前にミニトーク。
司会者の『フランクのソナタの螺旋階段をぐるぐる回っているような曲(の進行)に何処を弾いているか解らなくなる事はありませんか』に暫し質問の意味が解らず困った顔のアンダローロさん。慌てる通訳(イタリア語)に平然と言ってのける『ありえませんね~』で、一同苦笑い。
作曲や指揮も手掛ける音楽家にこの質問はちょっと、、と思うが西江さんは助け舟を出すでも無くいたって平然。何だかこの距離感が良い感じ(笑)

さあ、その螺旋階段音楽、瞑想的な旋律に引き込まれて巻き取られていく感覚と虚無感が何とも心地良い演奏だった。これはぜひもう一度お聴きしたい。

アンコール曲が終ってサイン会。
舞台を降りても冷静な西江氏と明るくおちゃめなアンダローロさん。
冷静と情熱のサイン、いただきました~♪

まだお若い二人ですが、ずっと見守らせてくださいませ(宣言!)
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by lime2005 | 2006-10-18 19:47 | 音楽

谷マジック・・・

新宿区納戸町にあるル・マンジュ・トゥーのオーナーシェフ、谷昇さんの一日料理教室に出かけた。会場は新橋のキッコーマン本社1F。
もうすっかり準備の整った師範台を見回すと、我が家の冷蔵庫にもあるお馴染みの材料ばかりで、ちょっと拍子抜け。
会場をうろうろと暇そうなシェフに『ビストロ仕立てのスープと煮込み、愛読していますよ~』と声をおかけしたら、『あの本、いい本でしょう~でも作るの大変だったんだよ~4人がかりで・・・』とにこやかに返してくれる。

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さて、本日のお題 『谷シェフ流 もっと料理を楽しく』ということで渡されたレジュメには『簡単普段着フランス料理の基本、楽しみ方とバリエーション=鶏もも肉を使って=』とあってレシピは無し(笑)よくある事だし、驚かない。
しかし講習会の初っ端に彼が言放ったのは『家庭でフランス料理を作ろうなどと思わないで下さい。フランス料理を食べたかったらレストランに食べに来て下さい』、、、で、一瞬ムっつ!まあ、正論だけど!!

鶏をトマト煮とレモン煮に仕上げて行く過程でシェフから直伝した技をまとめてみた。

①塩をうつ
 まず素材に中までしっかりと塩を入れ60~70%味はあらかじめつけて置く。フレンチの味の基本は塩にありき。素材によっては前日から一週間前にも打つことがあるという。結果、料理が素材の芯まで美味しい。(直前に打った塩だとそのまま油に流れて焼くとき焦げて苦味を感じる)
その量は基本が0.6%。ちょっと薄いのではと思ったがソースや煮汁全体を食べ終わった時のトータルの塩分量で考え、一口食べたときの強烈な美味しさ(ファースト・インプレッション)は求めていないとの事。これ、良心的で体にもいいなあと感じる

②塩、コショウは熟語じゃない
 肉を焼くとき塩、胡椒、、、何の疑いも無くそうしていた。フレンチの辻さんの本にだってそうある。
ところがここで胡椒に鋭いメスが。二つを同時に使って肉を焼くと、無機質の塩と有機質の胡椒、、当然有機質の方が早く焦げ初めて苦味、雑味に変わって不味い。
そもそもヨーロッパで何故胡椒が使われ始めたのかに話が及び、アルプスの上に海の塩がある岩塩文化では塩に含まれるヨウド臭を打ち消す為と、食材の輸送にも時間がかかった事から食材の臭み消し、、この2つが200年前のフレンチの胡椒の役目。
現在は精製塩でヨウド臭は消え、冷蔵庫でスピーディーな輸送が可能。胡椒本来の香りを十二分に生かすために必要な所にのみ使えば、、、というのが彼の持論。仕上げ直前にパーンと振りかける、、当然一番香りを生かせる使い方。
目からウロコ。はい、以後塩コショウを私のレシピから永久削除しましょう(笑)

③焼く   
さて、塩コショウの薀蓄に20分。いよいよ調理が始まるが、あらかじめ塩をうった骨付きブツ切りのもも肉をテフロンのフライパンで焼き始める。油は引かずにじっくり片面ずつ。焼いたままの状態で食べられるぐらいじっくりと焼ききるのがコツ。火加減は中火から強火でばりっと。
これにも秘密があっていい加減な焼き方で止めると素材からスープが出てくるリバウンドが起り旨味が流れ出てしまう為、骨の髄までしっかり焼き、旨味を閉じ込める。ただしケースバイケースで、クリーム煮などの色をつけたくない料理の場合は周りから旨味を補うのだそう。またまた目~ウロコ。
焼き切った鶏に水、にんにく、湯むきのトマトを投入して煮る。待つこと30分、鶏肉のトマト煮完成。

④煮る
素材の芯からしっかり味を取りたいときは水から煮る(これはスープも美味しい)。
そして素材をジューシーに仕上げたい時はお湯から煮る。この場合はオイルを一緒に入れると油とのマリアージュで素材が美味しくなる。シェフはお湯にピュアのオリーブオイルとぶつ切りの鶏もも、レモンの乱切りを投入。コトコト煮る事30分。鶏を取り出した後の煮汁にバターを投入、半分程に煮詰めてレモンバターソースを作る。ソースを鶏にかけてレモン煮完成。
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⑤味見、味見、味見。
料理を仕上げる過程で何度も何度も味見。これは味を少しずつ載せて重ねて仕上げる為に
要所で確認、足算していく為。確かに味の引き算は難しい。

⑥バリエーション
此処までで基本は終わり。後はただただソースや付けあわせを含めてその展開が無限に広がるだけ、、、、ワインビネガーやベリージュースで煮る、ベシャメルソースをかけてグラタン。
更に、鶏肉の皮と身の間に薄切りトリュフを挟んで焼いたり、煮たり(リヨンの名物料理)。焼きあげた鶏肉にトリュフオイルをかける、、、一気に一流レストラン仕様。極めつけは使っている鶏がブルターニュ産(ズ、ズルイ!)、、、この辺りからが家庭料理とレストラン料理の分かれ目というわけ。至極納得。

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さあ、試食
此処までで使った素材、、鶏もも肉、トマト、レモン、玉葱、じゃがいも、人参、パセリ、強力粉、バター、牛乳、、、、全部何れの家庭の冷蔵庫にも常備(笑)、、無いのはトリュフだけ。出来るんですね、これだけでフレンチが。

奥で助手さんが作った料理を試食、、、イメージ通り、しっかり塩味が素材の中心まで入っていて、素材そのものの味をソースや副材料が邪魔していないすっきりした味。そして噛締める程に馥郁と美味しい。味と香りと食感がきちんと皿にのっている。
基本の鶏がしっかりと味付けされていて旨味が閉じ込められているからバリエーションは添え物、、そんな風に感じた。つまりこれが素材の味を生かすという事!??

繰り返しイメージが大切と言う。例えば新玉ねぎの甘味をイメージ。ひねを使う時は足らない物を足せば良い。足らない物は水分、、そこで鍋に水を入れてから玉ねぎを煮る、只それだけ。
料理はイメージとのギャップを埋める簡単な事の積み重ね作業に過ぎないと力説。
試食でいただいた鶏肉のグラタンにはほんのり新玉ねぎの甘味が添えられていた。

谷マジックはイマジネーションの豊かさを、古いやり方に囚われない確かな調理科学とテクニックが支えるフレンチなんだと痛感。柔軟かつしなやか。

講習会の情報をくれたKさん、ご一緒できたPさん、有り難う~。楽しくも貴重な一日でした。
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by lime2005 | 2006-10-09 00:51 | 日記