<   2008年 08月 ( 7 )   > この月の画像一覧

あえて、『小さな魔笛』・・・

e0038778_23421388.jpg小さな小さな『魔笛』を聴いた。

音楽監督    天沼裕子
構成・演出   エッダ・クレップ

タミーノ     布施雅也
パミーナ    荒牧小百合
夜の女王・パパゲーナ 角田裕子
パパゲーノ・ザラストロ 中西勝之

シアターⅩ(カイ) 両国  

ご存知、モーツアルトの3大オペラの一つ『魔笛』。
おとぎ話がベースの楽しいこのオペラを一時間半ほどに再編した作品で、ドイツの大学で指揮法などを教えいらっしゃる音楽家の天沼裕子さんが取り組んだ子供も楽しめる本格的オペラだった。


演奏は木管三重奏(フルート・ファゴット・ピアノ)、登場人物はダブルキャストなのでたった4人。
台詞は日本語、歌は響きを大切にする為にドイツ語で(字幕なし)歌われた。

魔笛は音楽、劇性、歌唱全てにおいてグランドオペラに相応しい内容を持った大きなオペラなので、これを子供も楽しめる小さなオペラにというとさぞ制約が多くて大変だろうなあ~というのが、チケットを手にした時の印象だった。

舞台初日、小さな劇場の前5列ほどには桟敷席が設けられて、幼稚園ぐらいの親子さんも大勢みえていた。
音楽は天沼さん自ら弾くピアノに、フルートとファゴットの音色が重なる・・・室内楽的精妙さが生かされた演奏で『小さな魔笛』にはピッタリ。
初め、台詞の日本語といきなり歌われるドイツ語での歌唱に違和感があり耳が馴染まなかったが、次第に演出意図が細かい筋や登場人物の心理より、物語全体の流れにある事がわかって気にならなくなる。それに実際子供達はパパゲーノの天真爛漫な演技の可笑しさに声をたてて笑い、突込みをいれるその耳で『パ・パ・パの歌』の歌に聞き入ってしまっていた。
それは決して演奏中に声を出してはならない音楽鑑賞のマナーからも遠く、小さな芝居小屋の臨場感が溢れるようにオペラが進行する。

ただ、このオペラの持つ複雑な要素、登場人物の謎めかしさ(夜の女王やザラストロ)や主人公に与えられた哲学的な試練など、もう少し筋立てを整理すると判り易いかなあと感じた。実際のオペラにおいてはこの不可思議な要素こそがこのオペラの魅力と言っても過言じゃないだけに、構成・演出には苦労されたと思うのだが・・・。

若手の歌唱陣は皆様大健闘で、日本語の台詞から歌に移ると水を得た魚のようにのびやかでした(笑)

会場の両国界隈には江戸時代、隅田川添いに200軒もの見世物小屋がひしめいていて、自分達のオペラ(歌舞伎)に魅せられていたそうだ。それから250年経った現代にヨーロッパのジングシュピール(歌芝居)の面白さを持ち込んだ天沼さん。日本の若手歌手を育てたいというお気持ちも含めてその創造意欲が伝わる素敵な舞台だった。

今後もぜひ年一度ぐらいのペースで公演を続けていただけたらと密かに応援させていただきたい♪
[PR]
by lime2005 | 2008-08-24 23:42 | 音楽

来迎会を見る・・・

e0038778_2564990.jpg夏休み後半の8月16日、世田谷区奥沢にある名刹、九品仏の浄真寺にて来迎会(通称おめんかぶり)を見る。

オリンピックは4年ごとに開催されるが、この『二十五菩薩来迎会』は3年ごとに奉修されるから、両方が重なるには12年待たなければならない。(別に重なる事に意味は無いのですが・笑)実は今年はその年にあたり、12年前の8月16日に作家の澁澤龍彦は来迎会を見て、短いエッセイにしたためほどなくしてこの世を去った。いつか見てみたい、そんな気持ちがこの夏やっと叶ったのである。
この謎の宗教行事、下手な私の実況中継より澁澤龍彦の文章から抜粋紹介させていただくほうが100倍わかり易いので引かせていただく(澁澤センセイ、失礼いたします)


 浄真寺は駅からすぐのところにあって、思ったよりはるかに大きな寺だった。参道の両側にずらりと屋台店が出て、何のことはない、昔ながらのお祭の雰囲気である。カメラを持った外人がうろうろしているが、これは近ごろ、どの寺社のお祭や法会でもやたらと目に付く光景だ。

e0038778_247275.jpg

                            (↑普段のひっそりとした本堂)
本堂から上品堂へ長い橋が懸けわたされていて、その橋の両側に、来観のひとびとが三々五々あつまって、お勤めがはじまるのを待っている。見ると子供づれや家族づれも多い。すでに午前十一時と午後二時の二回のお勤めがすんで、今度は午後五時半の最後のお勤めである。

私は暑くてやりきれないだろうと思ったから、日ざかりを避けて、夕刻の五時半のお勤めを見るべく家を出たのだった。夏のこととて、五時半といってもまだ明るく昼間のようなものである。

e0038778_2474880.jpg

二十五人の菩薩に扮する信者は一般から公募するらしく、ほとんどすべておじいさん、おばあさんばかりだった。お面をかぶると何も見えず、足もとがあぶないので、家族のものに付き添われて橋をわたる。

e0038778_18123291.jpg

本堂が穢土で、上品堂が西方浄土である。行道する二十五人は、まず素顔のままで本堂から上品堂へわたり、そこでお面を顔につけて、笙(しょう)・篳篥(ひちりき)や御詠歌の伴奏と共に浄土から穢土へ御来迎になり、往生人とともにふたたび浄土へもどってゆく。最後にお面をぬいで、また穢土へ帰る。都合三回の行道で、これを来迎、往生、還来(げんらい)と称する。

e0038778_251491.jpgちいさなおばあさんが大きなお面をつけるから、ひどく頭でっかちになってユーモラスに見える。
それぞれに手に蓮台だの楽器だのを持って、橋の上をそろそろ歩く。
先頭が観音、その次が勢至、いちばんうしろが地蔵で、これは昔から定まった聖衆の行列だ。
金と青のけばけばしいお面が夏の陽に照り映えて、異様な感じを与える。
おもしろいのは、付き添いの家族のものが小さな団扇をぱたぱたやって、ひっきりなしに菩薩の扮装をした老人たちを扇いでやっていることだった。たしかに長い衣装をまとい、両手に手袋まではめているのだから、さぞや暑いことであろうと察せられた。

e0038778_18181567.jpg最後に坊さんが橋の途中で蓮華をまき、貫主(かんす)が来観の人々に十念を授けて、この日の来迎会はめでたく終わった。 
          
『都心ノ病院ニテ幻覚ヲ見タルコト』立風書房より
 

12年前澁澤氏が目にした光景が、寸分違わず目前に繰り広げられた事に感動が込み上げる。氏はこの場面を『ねむり姫』という最晩年の短編小説に挿入している。

宗教的興味というより、作家が一作品にイマジネーションを広げて織り込む素材を確認したかったからだと思う。

『来迎会』は奈良の当麻寺(たいまじ)が発祥とされていて、現在日本では此処を含めて4箇所、長野、岡山、関東では浄真寺のみだそうだ。

そのおおまかな思想(浄土宗派)は臨終を迎えた念仏行者の枕元に阿弥陀如来が訪れて、浄土に導くという教えを視覚化、劇化したものだそうだが、大掛かりな娯楽的要素も感じた。

楽僧達がつけた紗の袈裟が夕日に透けてきらきらと光輝き、優雅な雅楽に導かれて歩く生き仏達の静かで敬虔な足取りは幻想的で、これもひとつの祈りの造形なんだと思った。

次は、2011年8月16日御来迎・・・・

追記>
一つ書き忘れた事があるのですが、写真をご覧になって何か気がつかれた事はありませんか?!!私はずっと気になって気になって・・・(笑)
[PR]
by lime2005 | 2008-08-17 10:48 | 日記

サステナビリティ(持続可能性)・・・

夏休み5日目に突入。
恒例の夏の大掃除(我家はこの時期)が3日目には片付いてのんびり羽を延ばす計画だったのに頓挫。ようやく本日目処が立ってやれやれなのである。

今年の掃除のポイントは息子の部屋に侵食し始めた夫の本や新聞記事(スポーツ&裁判・選挙関係)の山を何とかする&10年も手付かずの押入れのチェック。
この新聞記事だが、普通は興味のある部分を切り抜いてスクラップするが夫は違う。その日一日分をそのまま取って置くので凄いボリュームになる。何度か意見して改善を要求したが『切り抜きは老後の楽しみ』と一歩も譲らない、永遠の夫婦喧嘩の火種である。

取り合えず手付かずの押入れを整理して其処に収納、残りは実家の自分の部屋に運んでもらう事で合意、作業開始した。

押入れは中身を全部出して一つ一つ点検。呆れた事に子供達の教科書やノート類を一冊残らず取ってある。夏休みのワークブックなんてろくに書き込みをしていない問題集が何冊も。小学校の分だけで6年×2人分。買って与えるだけじゃ意味ないわ~と言ってもすでに後の祭である008.gif

せっせと紐かけをして捨てる。と、奥には20年前から次々に手を出した私の手芸用品の一群が。洋裁、刺繍、パッチワークに押し花&ビーズ042.gifよくぞこれだけ次々と、と言うほどの材料群。夫を責められない量に唖然とする。
もう学校のバザーで作品を提出する事も無くなったので、これからも続けるであろうキルト用品の一群を残して全部処分する事にした。
結局処分したダンボール箱は20箱以上。すんなり夫の老後のおもちゃが納まりましたとさ。

作業していく途中で新たに自分に誓った言葉、それはSustainability(サステナビリティ)=持続可能
これはLOHAS(ロハス)= Lifestyles of Health and Sustainability のSで初めて知った言葉。ロハス自体は環境問題をビジネスにしようとする所にあざとさを感じて好きになれないけれど、『持続可能』は切捨てられないどころか、重要な環境問題のキーワードと感じる。

買い物をする時、ふとこの言葉を頭に過らせて、持続不可能な物を増やさない。
これだけでも我家の大いなる美化と地球温暖化防止の一助になると信じて・・。
[PR]
by lime2005 | 2008-08-15 00:43 | 日記

北斎漫画・・・

e0038778_219629.jpg先月末に出かけた国立博物館の特別展<フランスが夢見た日本>は見応えがあった。

19世紀末のヨーロッパでジャポニズムという日本ブームが巻き起こり、印象派の画家や音楽家に影響を与えた事は知識としては知っていたつもりだった。
でもそれがフランスの陶芸家にまで及び、陶器の中に北斎や広重を見られる新鮮な驚きの展示会だった。

作品はオルセー美術館の貴重なコレクションでフランス人の陶芸家、セルヴィス・ルソーとセルヴィス・ランベール、お二人のものを中心に。
図柄の元絵となった日本版画が比較対照できるように展示してあったのも興味深く、中でも『北斎漫画』の面白さが随所で目に留る。


以前ドライブの途中で立ち寄った高原の美術館で、エミール・ガレのガラス工芸『鯉魚文花瓶(りぎょもんかびん)』の意匠に転用された活き活きとした鯉の図柄が北斎漫画からだと知った事を思い出す。今にも花瓶から飛び出してきそうな粋のいい鯉。北斎漫画の生物のスケッチは魚も虫も動物達も表情が活き活きとしていて必要最低限のラインで此処まで生物を描ける見本帳と言う感じ。

面白かったのは元絵から切り取ったトリミングの妙。
模写先が大きさの限られた皿だけに取捨選択を要求される図柄。
中には大胆にも広重の『東海道五十三次』から富士山を切り捨てたり、只の背景の山としてしか描かれていなかったり、当時(江戸時代)の熱狂的な富士講(富士山を霊山として崇めた民間信仰団体)に袋叩きの目に合いそうなデザインもあった。ダメだよ~富士山削っちゃあ~である(笑)
もう一つ特筆すべき特徴が取り合わせの妙。朝顔と鯉、なすと伊勢えび、車海老に蝶・・・うう~ん理解に苦しむ(笑)というモチーフ配置を十二分に楽しませていただきました。。

19世紀末の日本が西洋から『美術』そのものの概念やカテゴリーを移植しようとしていたその時代に、逆に日本美術の大胆な構図(北斎)や鮮やかな色彩感(広重や国芳)が西洋の芸術家に与えた影響を小さな皿の中に見せ付けられた展覧会だった。

いつもの音楽鑑賞のお仲間、Tさん、Mさんとご一緒したのですが、作品を見ながら聞く『つぶやき』が耳に心地良く、記念に購入した絵葉書の図柄が大いにダブっていた事が嬉しかった。

北斎漫画再認識!!!
[PR]
by lime2005 | 2008-08-11 02:50 | 日記

金魚石鹸・・・

e0038778_1143917.jpg


Fさんが送ってくれた金魚石鹸。
凄く可愛くて、良い香りで、窓辺に置いていつまでも眺めていたい気分。
ありがとう。御礼に青邨の詩をプレゼント♪

     女友だちおしゃべり金魚浮き沈み  
                            山口青邨


青邨はちょっといじわる目線だけれど(笑)
いつまでも女ともだちでいられたらいいなぁ・・・。

[PR]
by lime2005 | 2008-08-09 10:59 | 日記

卵豆腐・・・

冷たい、つるんとのど越しの良い卵豆腐は盛夏のご馳走。
e0038778_1115479.jpg

和食でも難易度の高い卵の蒸し物料理。
茶碗蒸しの他にも空也蒸し、小田巻き蒸し、うな玉蒸しなどアレンジ料理も様々ある中、
その王道は『卵豆腐』である。
きりっと角の立った美しい卵豆腐を作るポイントは卵と出し汁の割合と蒸す時の火加減に尽きる。(・・・・と大威張りで言えるようになるまで10年かかりましたが008.gif


卵と出汁の割合は1:1.5(が黄金比率)これが流し箱から取り出せるぎりぎりの美味しい硬さ。(ちなみに茶碗蒸しは1:3よって蒸し茶碗が必要)
蒸す時の火加減は中火で3分、表面がうっすら白く固まったら弱火にして8分。
出汁は昆布と鰹の一番だし。
これで料亭のお味を保障します(笑)
冷たく冷やした吸だしに山葵を添えて・・・・。

卵豆腐が食卓に上がるようになったのは江戸時代からだそうです。
その江戸時代にはすでに500冊は下らないだろう料理本が出版されていて、
その中の『豆腐百珍』を現在に料理再現した本の話は次回に・・・・
[PR]
by lime2005 | 2008-08-07 01:06 | お料理

ハーブパン粉・・・

暑さが続きます。
ベランダのハーブがこの暑さにも負けずに生茂っているので、収穫して料理。
ハーブパン粉でスズキのハーブソテーを作る。
ほんのり香るハーブが食欲増進、夏の疲れを癒してくれる一品。
e0038778_17451100.jpg


e0038778_1644667.jpgまずはハーブパン粉を作る。
ハーブは2~3種類組み合わせて。私はタイム(枝ごと)、バジル、バーネットを使う。他にもセージやフェンネル、ローズマリー(葉のみ)などお好みで。
香りの強いタイムとローズマリーをぶつけても面白いかも。
ポイントは量を使いすぎない事だけ(使いすぎると悲惨・笑)



e0038778_16532969.jpg
ハーブの刻み具合はパン粉の荒さを見て合わせると仕上がりが綺麗。
生パン粉は吸油率が高いのでカロリーが気になる時は乾燥パン粉を使うと良い。
刻んだハーブとパン粉を手でもむように馴染ませる。
そして此処に魔法の一振り・・・・




e0038778_172947.jpg
はい、この子。ガーリック・パウダー
我家で一番減りの早いスパイスですが、この一振りの有る無しでハーブパン粉の味が天地(笑)
魚の臭みを消して、旨みを添えてくれる他、生を使うより口ににんにく臭が残りません。
さらさらとしたパウダー状なので料理の下味や隠し味に均一に馴染んで使いやすく、フライドポテトに振り掛けるともう立派なおつまみ(笑)同じブランドで塩入りのもあります。

白身魚はすずきの他にも鯛や鮭、鯵やほたての他、小海老にベーコンを巻きつけたフレンチのブロシェット風も美味しい。
塩、胡椒、白ワインで下味をつけたら


薄力粉 ⇒ 牛乳 ⇒ ハーブパン粉の順番につけてフライパンでカリっと焼くだけ。
盛り付ける方からフライパンに当てて焼いたら両面こんがりと火を入れて、取り出す直前に火を強めると油が切れてカリっと焼ける。焦らず中火でじっくり火を通すのがコツ。

習いたてのフォカッチャにイカのトマトペンネ。きっちり冷やした白ワインを添えて・・・
e0038778_17264961.jpg

[PR]
by lime2005 | 2008-08-03 21:12 | お料理