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コート・ドールの洗練・・・

e0038778_20383957.jpg念願叶って東京屈指のフレンチレストラン『コート・ドール』で忘年会ランチ。
港区三田の静かな住宅街のマンションの1Fにあるレストランは1986年の開店だからもう23年の歴史。
『美味しい鴨が食べたい』の同僚の声に、メニューはランチコース+アラカルトで鴨料理をお願いした。
さて斎須シェフの腕や如何に・・・。

通りから廻り込んで入り口に立った瞬間に背の高い方がドアを開けて招き入れてくれた。ピッタリ予約時間に入り口で待っていてくれた事に軽い驚きと喜び。のちにメートル・ド・テルの松本さんと知る。店内は落ち着いた色合いにすっきりとまとめられたモダンなインテリアで、白いテーブルクロスが窓越しの光に反射して眩しいほど。


e0038778_20372174.jpgまずは軽い前菜とワイン。
お奨めはブルゴーニュの赤。
桜海老とチーズのカナッペはコート・ドール(ブルゴーニュの黄金の丘が店名)の軽めの赤にピッタリで、あと2~3枚は軽くOK!!との声が上がる。
このアイデア、いただき(笑)





e0038778_2493169.jpg最初のお皿は魚。
ドーンと皿の上でパッチワークされているのは、脂の乗った寒鰆の燻製ヴィネガーソース。
桜チップで燻してあるのだろうか、凄く香りが良い。中は程よいレアの燻し加減が神業的。
付け合せの野菜は歯ごたえを残した紅芯大根のマリネ。そして仕上げに香り高い白コショーがたっぷり。これが泣かせる・・・・




e0038778_3172962.jpgお肉は北海道の野鹿のロースト。やはり冬のフレンチはジビエが主役。・・・と言っても鹿は柔らかくて臭みも少なくジビエ好きには物足りないぐらい。本来は5月から6月の初夏が一番美味しいと言われているそうですが、狩猟期間が12月から2月と決められているので口に出来ない。添え物は煮林檎入りのさつまいものマッシュ。私が時々作る林檎きんとんのお味でした(笑)


e0038778_3302119.jpg此処で特別注文の鴨料理登場~。
新潟産の『青首』の半身をローストしたものでほろほろの焼き加減。赤ワイン&血のソースでしょうか~。フルーティな甘酸っぱさ。切り分けると切り口はロゼ色。そしてくせのある鴨らしいお味は今年最高の鴨料理となる。添えてある大根のグラッセにも鴨汁が沁みこんでいて美味でした。



e0038778_4254017.jpgデザートは和栗のモンブラン。栗本来の甘味を味わう為に、砂糖の甘味はギリギリに控えてある。上品なクリームとベースはサクサクのパイ生地。ヴォロヴァン【vol(飛ぶ)au vent(風)】とフランス語で。まさに風に飛んで行ってしまいそうな繊細な軽さのパイが和栗にマッチ。




これに冷菓(ほうじ茶のムース)焼き菓子とコーヒーのランチでしたが、素材重視のシンプルなメニューにシェフの頑固なまでのこだわりと洗練を感じた。飾り立てない、細工をしない、手を加えすぎない=自然体でシンプルな料理。盛り付けもセルフィーユやイタリアンパセリの青みの添え物さえ俳されている。とことん持ち味を生かして引き立てる作法は何故か茶の湯の言葉『叶うはよし、叶いたがるはあしし・・』がふっと頭に浮ぶ。自分自身もぜひそうありたいけれど・・・

ライバル(笑)の谷シェフと並んで大好きなシェフの一人になりそうな予感大のコート・ドールでした。
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by lime2005 | 2008-12-29 20:37 | 寄り道

12人の怒れる男・・・

いよいよ今年も総括する季節になった。
2008年、年明け早々立て続けに起こった食品業界の偽装問題~アメリカの金融問題に端を発する世界同時不況~雇用問題他の日本への直接的波及・・・とこれほどの目に見えない不安感に襲われた年はかつて無かったし、来年は一層の悪化が懸念される年になりそうな中、
今年取り上げられたニュースで気になったのが2009年5月からの『裁判員制度』のスタートである。もし裁判員に選ばれたら??いや、誰でも選ばれる可能性があると言う事はどんな裁判でも自分とは無関係では無くなると言う事なのだが・・・その重みに果たして耐えられるのか・・

『12人の怒れる男』シドニー・ルメット監督(1957年)
物語はニューヨークの蒸し暑い夏の午後、12人の陪審員達が集まる冷房の壊れた一室。
誰もがさっさと用を済ませて一刻も早くこの部屋を出て行きたいと汗を拭いながら思っている。
手っ取り早く投票を!と粗末なメモ用紙が配られて早々に票決する。ある少年の父親殺しを有罪か、否かと。有罪なら罪状どうり『死刑』である。

陪審進行役の男性の手元がアップされる。
guilty(有罪)・guilty・guilty・guilty・guilty・guilty・guilty・guilty・guilty・guilty・guilty・・・・・not guilty(無罪)・・・・・・全員一致の票決が鉄則なので場がざわつく。たった一人の反対意見。陪審員番号8番(ヘンリー・フォンダ)の主張は有罪にする確証が無いので無罪だという。疑わしきは罰せずが裁判の大原則だと主張。

ここからはこれから見られる方の為に控えますが、12人の素のぶつかり合いが悲惨な殺人事件を克明に再現して描き出していくというミステリー映画を見ているような展開に引きずり込まれて行く。そして無関心の糸が一糸、一糸とほどかれていくのである。

この映画を先日もう一度見返してみた。
一度目見た時(夫に薦められて20年前ぐらい)とは自分の目線が変わっているのに気が付く。
ぐっと自分の事に引き付けて見られたからだ。そう思うと最後にnot guiltyと言い放って泣き伏した男(リー・J・コップ)の怒れる演技に人の弱さと優しさを見た思い。

優れた脚本のドラマであり、ディーベート・サスペンスの娯楽作品ではあるけれども、物事を感じたり判断する時に『偏見や思い込み』無しでどれだけ考えられるかという事を改めて提示された作品である。その事は2009年5月を前に少し訓練が必要かもしれないとも・・・。
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by lime2005 | 2008-12-19 16:01 | 日記

お米多種多用・・・

問題です034.gif
左は主な産地、右は銘柄です。正しく線で結びましょう~。

 ① 青森県            A ひとめぼれ
 ② 宮城県            B ゴロピカリ
 ③ 秋田県             C はえぬき 
 ④ 群馬県             D あきたこまち 
 ⑤ 山形県            E つがるロマン

簡単ですね037.gif
今はコシヒカリと言うと作付けしていない県を探すのが大変な程の全国ブランドですが、上の銘柄はまだまだ地元を代表するブランド米。群馬のゴロピカリって可愛いネーミングだなと思って入れました。上州名物の雷と親にあたるコシヒカリをかけているんだそうです。
他にもふっくりんこ(北海道)とか、ほほほの穂(石川県)、森のくまさん(熊本県)、天使の詩(佐賀県)などお米とは思えないような名前も。
吟おうみとかちゅらひかりなら産地を聞かなくてもわかるネーミングですし内助の功(滋賀県)なんて作り手の願望みたいなユニークな名前もあって銘柄一覧を眺めるのはなかなか愉しい。それぞれに深い意味と願が込められているようで。例えば『ひとめぼれ』は伊達正宗のお国だけに片眼で惚れたという意味があるのだとか。そんな私もひとめぼれファン016.gif
そしてカタカナ字はパブリックの農林試験場の交配で生まれた銘柄、ひらがなは民間と決められているんだそうです。
ではあの『コシヒカリ』は新潟県の農林試験場生まれ?と思いきや交配の実験だけは新潟で、正式には福井県の農林試験場で誕生したそう。新潟産のコシヒカリが美味しいお米の代名詞のようになっていますが生誕地の福井県に悪いですね(笑)

ところでお米の美味しさって何でしょう~。
もっちり?しゃっきり?ふつう?・・とこれは我家のお好み炊飯モードの選択ボタンですが、一般には『適度な粘りと甘味』というのが定説でこれを調理科学的に説明するとデンプンを構成するアミロースとアミロペクチンの比率とか、酵素活性の強弱とか、タンパク質の含有率になるそうです。ただ数字で示せても最終的には官能検査、個人の『舌』『五感』勝負なんだそうです。

最近は人気のコシヒカリが全国で作られている事もあって、銘柄産地が更に細分化された『新潟県魚沼産コシヒカリ』や『山形県庄内産はえぬき』などが不動の人気を誇っているようですが、魚沼産コシヒカリは収穫量の30倍が市場に流通しているそうです(笑)ブレンドされまくっているのですね(笑)もしくは思いたくないけれどニセブランド!?

美味しいお米の出会い方を出入りのお米屋さんに聞いてみました。
『とにかくいろんな銘柄米が出回っていて少しずつ味が違うから気長に自分の好みに合う銘柄を見つける事です。もし粘りの強さをとことん追求するなら新形質米というもち米とのハーフ種がお奨め。ミルキークイーンとかスノーパールという銘柄がそれ。
産地的には信越地方と北陸地方の盆地で育ったお米は文句無く美味しい。いずれも夏に気温が一気に上昇する事と、土壌中のマグネシウムが多いという美味しい米作りに欠かせない条件をしっかりと充たしているから。逆にこの条件が充たされていれば何も魚沼産に拘る必要は無い訳で、その周辺地域長野県の佐久や飯山辺りは意外と穴場なんですよ~』

なるほどね。佐久市と言えば夏に浅間山に向う途中で五郎兵衛(ごろうべい)米というコシヒカリを買った事があるのですが新米の季節を直前にしながら、味、香り、食感共に絶品でした。

イネ科オリザ属のオリザ・サティバ・ジャポニカ種というのがお米の植物学的正式名。その味わいは語り尽くせないほど多種多用~011.gif
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by lime2005 | 2008-12-12 12:18 | お料理

ブリテン協会コンサート・・・

e0038778_23301353.jpg2008年12月4日(木)、HAKUJYU HALLにて第2回ブリテン協会の主催するコンサートを聴く。
今回はベルリン・フィル首席オーボエ奏者、ジョナサン・ケリーを迎えて。
(←写真は若き日のブリテン)

オーボエ : ジョナサン・ケリー

ストリング・トリオ・グレース
ヴァイオリン :  漆原啓子
ヴィオラ    : 須田祥子
チェロ : 向山佳絵子
詩朗読:林望

***purogram****

ブリテン:幻想曲 作品2
(オーボエと弦楽三重奏のための)
ブリテン:オヴィディウスによる6つの変容 作品49

--intermission--

ドホナーニ:弦楽三重奏のためのセレナード
モーツアルト:オーボエ四重奏曲



案内をいただいてから楽しみにしていたブリテン協会主催のコンサート。
今回はベルリン・フィルのもう一人の(一人はアルブレヒト・マイヤー氏)首席オーボエ奏者、ジョナサン・ケリーのオーボエが聴けるとあって期待が高まる演奏会だった。

一曲目の幻想曲はオーボエの音色と弦の重なりが、甘さを廃したブリテンらしい幻想世界を展開。ピュアで優しくて、何処か求道的な音を感じるケリーのオーボエを堪能。弦楽器群、トリオ・グレースも大健闘。

二曲目は初めて聴く曲で、ギリシャの詩人、オヴィディウスの『変身物語』から、パン、フェートン、ニオベ、バッカス、ナルキントス、アレトゥーサの6登場人物の変身譚をブリテンがオーボエに託して歌にしたもの。
曲中、酔漢バッカスのしゃっくり(笑)や舞踏会での貴婦人の喋喋たるおしゃべり。自己愛に目覚めたナルシスが見つめる揺れる水面に到るまでたった一本のオーボエだけで表現。もちろんケリーの表現力あればこその難曲である。ユーモアーとペーソスの満ちた愉しい曲に林望氏がバリトンで英詩の朗読で華を添えた。

後半のドホナーニで、連日の仕事疲れで軽く睡魔が。。
最後のモーツアルトのオーボエ四重奏曲では、再びケリーのテクニックと美音に酔う。
休憩中に伺った日本ブリテン協会理事の武田さん談『ケリーのオーボエにはモーツアルトが合っている』のお言葉通りのロマンティックだけれども贅肉の無いモーツアルトを楽しめた。特に『「フィガロの結婚」のバルバリーナのアリアを思わせる、哀しみ凝縮した音楽』とケリーが語る第2楽章でぐっと胸が熱くなる・・・。

パンフレットでケリーの経歴を読んでどこかイングリッシュ・テナーのボストリッジと重なる音楽家に思えたのは、ケンブリッジ大学で同じ歴史学を学びつつ音楽の道に入った事も影響しているのか。
ブリテンの更なる曲の魅力を、ベルリンフィルの木管奏者の層の厚みと贅沢さを同時に味わった演奏会でした。

今年はブリテンの曲を新日本フィル×アルミンクで『戦争レクイエム』、フィラデルフィア管弦楽団×エッシェンバッハを五嶋みどりさんのソロで『ヴァイオリン協奏曲』(絶品でした!!!)、そして今回とボリュームのある曲を聴て大満足。さて、来年はどんな曲との出会いがあるだろう~。
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by lime2005 | 2008-12-09 09:57 | 音楽・ブリテン