葉桜が初夏のような太陽に反射して眩しかった先週末。
マスカーニのオペラ『カヴァレリア・ルスティカーナ』を両国のシアターX(カイ)で観る。 (・・・とこの記事を書いている最中にPCトラブル発生、そのまま愛機はメンテナンスに・・・) 4月9日(木)~11日(日)の3公演ともほぼ満席完売の盛況ぶりで私は10日の公演を鑑賞する。 『あえて、小さなオペラ』と題した、昨年の『魔笛』に続くvol.2。 作曲 : ピエトロ・マスカーニ 音楽監督・指揮 : 天沼裕子 演出 : 藪西正道 キャスト サントゥッツァ : 菅有実子 トゥリッドゥ : 大澤一彰 アルフィオ : 馬場眞二 ローラ : 小倉牧子 ルチア : 大国和子 シチリア島の人々 : 中川越百 川原千晶 佐藤貴子 高橋安紀 大山綾子 藤川亜悠子 亀岡聖子 紺野由香里 志田雄二 安保克則 斉藤洵 新井健士 アンサンブルΧ : 長明康郎(チェロ) 鈴木結佳(クラリネット) 真島圭(ピアノ) 憂愁を湛えた美しい間奏曲が一人歩きしている感のあるこのオペラの舞台は地中海のシチリア島。 コッポラ監督の『ゴッドファーザー・パートⅢ』にはコルリオーネ一族の3代目の長男がオペラ歌手としてデビューするシーンがあって、まさにこの『カヴァレリア・ルスティカーナ』を上演中に劇中殺人が起こったのを憶えていらっしゃる方も多いのでは・・。 会場は客席も含めた面積の半分が舞台に設えてあって、登場人物は客席からも出入りするので臨場感溢れる舞台を楽しむ。 舞台上手に主人公トゥリッドゥ の母ルチアが経営する酒場、下手に教会の扉。 のどかなシチリア島の小さな村の復活祭の朝に事件は起きる。 二組の、夫婦と恋人達の糸が絡まり、不信、怒り、絶望、報復へとドラマが進んで行く。 その間、村人達には静かで平和な日常。教会のミサが敬虔に執り行われ、復活祭の酒宴が始まる。追い詰められた主人公は決闘を申し込んで破滅の人生を選び取るという悲劇である。 これまでに何度か観たカヴァレリアの舞台は理性が勝った抑制の効いたものが多かったが、この小さなオペラにはシチリア人の激情した熱い血潮・熱気が伝わって来た。 サントッツア役の管有実子さんのメラメラ燃える青白い炎の歌唱に、捨てられた田舎娘の未練と絶望がねっとり表現されて説得力があったし、ルチア役の大國和子さんはドラマをキリリと引き締める役どころと馥郁とした包容力のある歌唱が素晴らしかった。 難点は主要登場人物を除くシチリア島人合唱団(と名付けてみました)がその無添加ネイチャー風なサラサラとした衣装に準じた薄い合唱しか聴かせてくれなかった事でしょうか。もっと俗っぽく、土着っぽく、群集のエネルギーを感じる分厚い合唱が聴きたかったです!!!アルプスの山小屋をバックに歌っている訳ではありませんからね~♪ 歌や演技に増して音楽が熱かった。フルオーケストラをクラリネットとチェロとピアノだけで表現、編曲をされた天沼さん自ら指揮をされた。普通オペラの指揮はオーケストラボックスのピットに納まるので観客からは指揮姿が見えないのですがそこはちいさなオペラ。奏者共に舞台手前中心に位置してキビキビと指示出しをする指揮姿を目の当たりに出来たのがラッキー。やはり指揮者って本番は全身肉体重労働者(笑) 配布パンフによると『あえて、ちいさなオペラ』シリーズを『両国オペラ』と名付けたら?の案が密かに持ち上がっているらしいが大賛成!!! もともと演劇用に作られた劇場空間ゆえに、制約や障害も多いかと思うのだが、創作意欲が伝わる作品をその分こちらも期待できるメリットが。ぜひ次回はレオンカヴァルロの『道化師』を所望!!(笑) それに今年の夏はあ・の・魔笛が装いも新たに帰って来ると風の噂に聞き、益々目の離せない両国である。 #
by lime2005
| 2009-05-20 09:59
| 音楽
皆様大変大変無沙汰いたしております。
暫く愛機を修理に出していたり、仕事で春から製パンの教室を受け持つ事になってその準備やらで落ち着かない日々を過していました。 新緑が日、一日と深く濃くなって青葉若葉から洩れる陽の光が眩しい季節はもう初夏・・。 先日、と言っても10日程前でしょうか久しぶりに東京で虹を見ました。 春の虹なんて珍しいですよね。だって虹は夏の風物詩とばかり思っていましたから。 遠くにくっきり鮮やかな夏の虹とは対照的にぼんやりした淡い虹が妙に近くで、ふっと浮んではたちまちに消えて無くなる印象、それが春の虹です。 俳句の季語では『初虹』とも言って(その年に初めて見る虹)はかなさゆえに印象深く心に留め置く言葉の代名詞として詩人にも好まれたようです。 青苔や膝の上まで春の虹 一茶 春の虹そのあと暫し足洗ふ 野澤節子 『膝の上まで』に一茶のお茶目さが(笑) 足を洗うのは農作業の合い間でしょうか、それとも。艶かしさが淡い虹色に重なります。 ちなみに『虹』の字の虫は蛇を意味していて、工は貫くという意味があるそうす。古代中国の人にとっては天空を突き抜けるように泳ぐ大蛇がイメージだったのでしょうか(笑)英語のrainbow、雨の弓橋の方がピッタリくる感じがします。 ふと立ち止まらないと見えない・聴こえない・感じないものを大切にしながら、また心に残った四季折々の事を 書き留められたらと思います。 また遡って春の出来事も書きたいと思っています。 #
by lime2005
| 2009-05-20 09:57
| 日記
月末に年度末の組織改変が加わって職場に泊り込みしたいほどの忙しさでブログ放置、失礼いたしました。
3月の中旬、織姫Kさんのお誘いで、『とらや』東京ミッドタウン店内のギャラリーで開かれている『日本の染め色展』に出かける。 京都伏見の『染司よしおか』五代目当主の吉岡幸雄氏(Kさんの染色の先生でもある)が、日本古来の植物染めにこだわって研究、染めあげた布の数々を拝見する。 会場の空間を彩る鮮やかな暖簾の奥にいらっしゃるのが吉岡さん。初めてお会いた印象は京言葉が耳に柔らかい、職人と言うより学者様(笑) 暖簾の下には植物染めの主な材料と染色した布が配置されそのひとつひとつをじっくり眺めながら鑑賞。 少し離れて眺めるとコーナー全体の醸しだす雰囲気と空間デザインが見事な事に気付く。 伺うと、成田国際空港第2旅客ターミナルビルサテライト 到着コンコース のデザインを担当されているとか。ぜひこちらも足を運びたいところ。 紅花で染めた『今様色(いまよういろ)』 平安貴族のトレンドカラー(しかも階位外の間色)はこんなに鮮やかな紅色だったのか。 この紅花、源氏物語には《すゑ摘む花》として登場して源氏を驚愕、落胆させている(笑) ご存知藍(あい)。蓼藍(たであい)という植物で染めた藍はその工程で数限りない青色が染まるそうだ。 Kさんが勉強中、藍染の工程をレポートしてくれた時はドキドキした。その独特の言葉にうっとりした。 藍染には葉を腐らせ醗酵させて蒅(すくも)にする方法と灰で沈殿する方法がある事もその時知った。 藍は建てる。甕に藍の華が建つまでじっと待つ・・・。 どうして紫が階位的に高貴だったかが氷解。会場で買い求めた吉岡さんの『源氏物語』の色辞典によると、紫草の根(紫根)で染める、希少かつ高価な染色材料だったため、紫根染めの衣装をまとえる貴族は権力財力の象徴だったと・・。 紫のゆかりの色にもえいでし花のえにしの忘れらくなに・・・平安貴族の恋物語『源氏物語』はそのまま紫のものがたりだと吉岡さんはお書きになっている。 他にも矢車の実で染めた鈍色とか、胡桃色、刈安色・・・・などなど。 会場には小さなショップコーナーもあり、小物類が並べられている。 Kさん曰く、同じ値段で買うなら『紫』はお買い得なのよ!!と、紫根のところですでに学習(笑) どの小物も丁寧に、繊細に作られているものばかりでため息が出る。 会場が虎やだけに餡子の材料小豆染めの袱紗発見(笑)。媒染(色を定着させる作業)の違いで2色の小豆に染まった布が興味深かった。 中でも一番目をひいたのはこちらのスカーフ。 実は2枚の絹布を合わせてあって、その片側だけに染色されていると手にとってみて判明。 柔らかい色合いと絹糸の細さは今まで目にした事のない逸品。 もちろんお値段もね(笑) 洋装でも和装でも主たる衣装を引き立ててくれそうな色と風合いが見事でした(咽から手!) お忙しい帰省の合間をぬって誘ってくださったKさんと、突然のお誘いにも快くお付き合いしていただいたTさんに感謝。次は江戸小紋工房探訪ですね!!! #
by lime2005
| 2009-03-24 02:01
| 寄り道
新しいスキンお試し・・でもちょっとド派手につき期間限定(笑)
日、一日と空が明るく明度を増して春本番もすぐそこという感じ。 本日朝の満員電車が心なしか空いていたように思えたのは揃って着ぶくれていないからね(笑)そんな私もジャケット一枚。 そうなると心も軽く春物のふんわり明るい洋服に目が行ってしまいます。 先日、アウトレットで(超~ご近所の)見つけた、花びらが舞い降りたワンピース。 残念ながらワンピースとしては丈が短かすぎて着られないので更に丈を5cmばかりつめて、パンツに合わせてチュニックで着る予定。 脇は大胆にスリットを開けようかな!!! 衿のフリージングが可愛く着心地もなかなか・・。 柄物は着回しが効かない理由から、極力着ないようにしていたのだけれど最近はついつい手を出してしまうのは年のせい?!! 桜前線ももう間も無く・・・ 今年のお花見、花衣 #
by lime2005
| 2009-03-17 01:39
| 日記
3月12日朝日新聞神奈川版の記事から
この春から神奈川フィルハーモーニー管弦楽団の常任指揮者に就任する 指揮者の金聖響さん(39)の抱負に涙する(笑) >団員と心を通わせ、楽団の色を確立したい。 >むっとした人もいたと思うが、刺激を与える役割に徹したかった >シュナイトさんとの共演を重ねた神奈川フィルは、音色が磨かれ、息が合ってきたと感じる >でもその前にオケが企業努力をして、地域社会に貢献していると認められなくてはいけない。学校や福祉施設の出張演奏会では、直接観客に語りかけたい。不況の今、変化を起こすために呼ばれたなら、運命だと思っている シュナイトさんが丹精込めて耕した大地に、どんな色の、香りの花が咲くのか期待が高まる記事である。 #
by lime2005
| 2009-03-13 01:37
| 音楽
|
最新の記事
以前の記事
2012年 06月 2012年 05月 2012年 04月 2012年 02月 2012年 01月 2011年 05月 2011年 04月 2011年 03月 2010年 11月 2010年 10月 more... myお気に入りリンク
Radical imagination
鎌倉への愛溢れる高味さんのブログ 庭とワインと犬が好き 八重桜のある庭のぴっぴさんのブログ atelier.aquarius 織姫きてい。さんのブログ fantahime's weblog 勉強家!ファンタさんのブログ うさんぽ*たんぽぽ かわいい銀蔵さんとうっささんのプログ サロン・ドゥ・ラ・クレアシオン もときち姐さんのジュエリーショップ SOAPYSOAP 職人!SOAPYさんの手作りブログ カテゴリ
タグ
ライフログ
その他のジャンル
記事ランキング
ブログジャンル
画像一覧
|
ファン申請 |
||