梅雨の晴れ間の夕暮れは遅い。そんな季節になるともう直ぐ半夏生(はんげしょう)なんだと思う。暦の言葉の中でもひときわ妖しげな風情を漂わせる半夏生。
『半夏生(はんげしょう)』は夏至から数えて11日目、今年は7月1日があたるようだ。 暦の雑節の一つである。 二十四節気をさらに細分化したものに七十二候というものがあって、これが中国から伝わって日本では暦の雑節として土用(入)、節分、彼岸(入・中日・明)、社日、八十八夜、入梅等とともに生活に根づいたと言われている。 言葉の意味は『半夏生ず』で半夏(はんげ)と呼ばれるカラスビシャク(サトイモ科の植物)が生える頃・・・ということらしい。もっといろいろ想像していた私は少しガッカリ。 で、何故この半夏生が暦の雑節に取り入れられたか・・・と調べてみると梅雨の後期に入る目安として、遅くともこの日までには田植えを終えれば例え天候が不順でも『半夏半作』と言って例年の半分は稲穂が実ると言われたそう。稲作における田植えのタイムリミットを示す重要な日という訳。 ところで、半夏生の日には禁忌が幾つかあって、私はこれに興味を惹かれた。 * 天地に毒気が満ち毒草(半夏)が生える (半夏は毒草だったのか!!) * 天から毒気が降るので井戸には蓋をしなければならない。 * 地が毒気を含むのでタケノコ、ワラビ、野菜を食べてはならない。 * 作物の種をまいてはならない * 竹林に入ってはならない 等々・・・ 梅雨の時期に物が傷みやすい事を『毒気が満ちる』と言い表わして注意を促した禁忌と思われるが、冷蔵庫や化学薬品の無かった時代の生活の知恵だったのだろう。 ところで、先日知人から美味しい和菓子をいただいた。 6月になると和菓子屋の店先を涼しげに彩る『水無月』である。 三角形のういろうの上に小豆をのせた、モチモチとした下地と、小豆の淡い甘さが、程良くマッチした、素朴な味わいの上菓子。キリット冷やして冷茶で頂くのが美味。 この三角形は氷を象徴しているそうだ。 その昔、貴族が氷室に貯えた氷を切り出して食べたのが「氷の朔日(ついたち)」で今の6月1日。これから迎える暑い夏を乗り切る為のおまじないを伴った行事で、薄く削って蜜かけで食べたそう、、と清少納言の日記にもちゃんと残されている。 しかし当然庶民にはとても手が届かないことから、せめて氷に見立てたお菓子を食べて無病息災を願ったという歴史のある菓子だそうだ。 半夏生の頃に水無月をいただく時、迎える夏に込められた古人の願いが心に届く。 今年もいい夏を迎たいな。
by lime2005
| 2006-06-29 11:00
| 日記
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