お隣のF夫人にいただいた携帯画像は先日倒れた鎌倉の大銀杏です。
『別当公暁のかくれ銀杏』と言い伝えられた樹齢千年の銀杏は、鶴岡八幡宮の本宮に上る左手途中から下に移されて、再び根付きの時を待つ事になりました(ほっ!)。 甥の公暁の手にかかって命を閉じた実朝の死をもって源氏の治世は終わりを告げるのですが、『吾妻鏡』にはこの日こんな歌が記されています。 出ていなば 主なき宿と なりぬとも 軒端の梅よ 春なわすれそ これは、1219年1月27日、実朝が夜に予定されていた右大臣の拝賀式に出るため屋敷を出る時、家来に髪を切って与え、雪をかずいて咲く梅の花を見て詠まれた歌で、すでにうっすらとした覚悟が感じられる、哀しくも切ない歌なんです。少し出来すぎの感が否めないのは吾妻鏡が幕府の正式記録ゆえの潤色疑惑も当然あるからですが、 他にも、 大海の 磯もとどろに よする波 われて くだけて さけて 散るかも 大好きな歌です。こんな雄大と気品を兼ね備えた和歌を七百首以上も私家集(金塊和歌集)に収めさせた実朝は立派な詩人だったと定家も絶賛したと言われています。 私にとっての大いちょうは、この詩人実朝が京文化にあこがれを持ちつつ、歴史の波にのまれて生きた証のようにも感じられるので、再び元気に根付いて欲しいと心から願っています。 なお、お気に入りブロガー高味さんの描かれた大銀杏シリーズは実朝の時代から以降も人々の記憶に刻まれ続ける木を思って興味深いのでご紹介させていただきます♪♪
by lime2005
| 2010-03-21 04:31
| 日記
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