食器を買うとき、特に陶器は専門知識と器に対する愛情を持った店員のいる店と決めている。時に一目ぼれするような器に出会った時でも、詳細を尋ねると『少々お待ちください』を繰り返す店が多くガッカリさせられることが多いからだ。
もう数年前になるが、行きつけの陶器店で焼き締めの素敵な皿を見つけた。2つ前のスレッドで『新春多喜合わせ』を盛り付けた山鳩色の八寸皿である。 焼き締めの皿は以前に使い方が悪かったのか『しみ』をつけたことがあったので迷ったが、店主が 『使う前にいい水で十分しめらせてから使うと大丈夫ですよ。とにかく最初に出会った水が大事です』 とおっしゃったのが決め手で購入。以来しみとは無縁のおつきあいである。(しみのように見えるのは硬い粘土を使った焼き締め独特の肌合いである) 確かに木のまな板も十分に湿らせてから使うと薄い水の膜が食品の色素や臭いを移り難くくしてくれるあの原理だなあと思った。 あえて『いい水』と表現した店主の器に対する慈しみも心に沁みた。 さらに店主は『お米を研ぐ時はどんな水を使っていますか?』と尋ねるので 『水道水です。炊くときはミネラルウォーター』と答えると、 『研ぐ時からミネラルウォ-ターを使わないと意味がないですよ』とおっしゃる。 米を研ぐ最大の目的は表面についた糠を落とすことだが、極意として、 最初の1回目はたっぷりの水で素早く洗い、2回目からはゆっくり表面の糠を磨ぎ落とすように・・・・・ と言われている。これは最初に出会った水をグンと吸収する時、表面の糠臭さも一緒に吸い込むのを防ぐためである。 そこでどれ程吸い込むのか簡単に計測してみた。 結果、一回目で容積の約15%もの水を一気に吸い込み、後は何回洗ってもわずかに吸収するのみで、店主の『最初に出会った水が大切』の意味が理解出来たのである。 それ以来、我が家のミネラルウォーターの消費量が僅かに増えた。 余談になるが、 最近夫と私の本棚から本が姿を消すことが多くなった。 ハリーポッターと星新一を卒業した長男が大人の本に興味を持ち始めたようなのである。 彼はこの先一体どんな水と出会うのか、楽しみでもあり、心配でもあり・・・。
by lime2005
| 2006-01-07 06:40
| 日記
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