高校以来の親友M子は履物道楽家である。どれぐらいの道楽ぶりか・・というと玄関脇の納戸をそっくり履物部屋にして、壁面びっしり履物、はきもの、ハキモノ・・・・・。正確に数えた事は無いらしいが20年来、同じ靴を履いているのを見かけたことがほとんど無いので、かなりの数である。おまけに趣味がゴルフとテニスなので、スポーツシューズを入れると小さな店が持てそうな量である。大柄でボーイッシュな彼女にはコンサーバチブなデザインのパンプスがよく似合う上、姿勢と歩き方がとても綺麗で自分の魅力がちゃんと判っている人なんだわ・・といつも感心させられる。ジュエリーには全く感心が無くて、洋服もそこそこ、ひたすら履物道まっしぐらなのである。因みにdinks。
昔読んだ向田さんのエッセイで、『女性の後姿に2度、首筋を下からスッと撫で上げられたような感覚を味わった』・・とあったのを思い出した。一人は薄曇りの銀座通りで知人を見つけて、淀んだ空気を断ち切るように勢いよく車道を斜めに横切った水谷八重子さん。もう一人は両手の失われたルーブルのヴィーナスだったそうな。しかもそれがあの有名なミロのヴィーナスだと知ったのは出会った後だったというのは向田さんらしいエピソード。両者ともに『威あって猛(たけ)からず』な美しさが向田さんを虜にさせたのである。 で、私はと言うと・・首筋にスゥーと来るのが颯爽とパンプスを履きこなして街を闊歩する女性の『足首』である。正確に言うと足首から甲にかけての曲線。自分で書いていて何ともオヤジ的発想と思ってしまうが、首筋スゥー・・は一種の生理現象だから避けようが無い。 これにはきっかけがあって、10代の後半に聴いたジャズのピーバップなピアノ弾き、ソニー・クラークの『Cool Struttin’クール・ストラッティン』のジャケットに一目ぼれ、曲と共に擦り込まれたらしいのである。(たぶん・・) この曲は今もよく街に流れていて一度は耳にした事のある、聴けばああこれね~といったお馴染みの曲である。 ちょうど今頃の厳冬のNY。マンホールから立ち上る暖房用のスチームの上を『カッツ!カッツ!カッツ!カッツ!・・・』とバックシームのストッキングをさらりと纏ったハイヒールの女性が颯爽と背筋を伸ばして歩くシーンが目の前に広がる、そんな曲。学生靴にさよならしたばかりの背伸びしたい年頃。活力に満ち溢れた大人の女性の『足首』に憧れたんですね~。 今は昔のお話・・・。 最近は如何に履いていて楽な靴かが選ぶ重要なポイントで、見た目は切り捨てつつあるのが哀しい現実だが、時にはM子を見習って春になったら靴屋をマメに覗いてみようかな。 先日これを見つけたとき、ふっと春風が吹きぬけたような気がした。 もうすぐM子の誕生日。今年は春色のシューズケアーセットをプレゼントすることにした★
by lime2005
| 2006-02-02 20:31
| 日記
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