娘の成人式の振袖を仕立てていただいた呉服屋さんから案内をいただいて、新作着物の内覧会に出かける。
展示してある着物は鳴門の有松の気品ある総絞り、次期人間国宝と噂されている(らしい)和田光正氏の金彩友禅や日展作家の寺島利男氏、女性らしい繊細な柄と配色をハーブで染め上げる阿部佳雪さんや幻の染色技法を現代に甦らせた久保田一竹氏の辻ヶ花等々・・・雑誌でしか目にした事のない作家物の逸品が広い会場に所狭しとならべてあって見応えのある内覧会だった。・・・と、此処までは落款入りの超プレミアム着物ばかりで完全に目の保養(笑)が目的。何枚もひやかしで試着して愉しませていただいたのだが・・・。 最後に見た織りのコーナーでとうとう『紬』を手にしてしまった。 憧れの白大島。ひとめぼれである 白と言っても実に様々な白が存在するので上手く表現出来ないが、積もった根雪の影の青緑がかった白と申しましょうか、ひんやり透明な白地で、肩口と袖と裾に淡いブルーの辻ヶ花の染と絞りが入れてある創作ものである。 以前から紬を買うなら結城か大島と思っていたので早速試着。 袖を通すとその軽さと暖かさと、はんなりしとしたシャリ感が皮膚に纏わりついて来て着心地抜群。よく紬を着始めたら他の着物が着れない・・とはこの事?と思う。 友禅や綸子の冷たい重みは無く、着ている感じがしない抜群な着心地。 辻ヶ花はご存知の方も多いと思うが、室町で隆盛、のち江戸時代に途絶えてしまったものを先の故久保田一竹氏が現代に甦らせた幻の花と言われている染めの技法で、素朴な線と柔らかい絞りの愛らしさが魅力である。 試着のまま少し歩いてみると、裾裏に裾模様と同じ辻ヶ花の絞りが一つ入れてあるのを発見。こんなところはちょっと心憎しではありませんか。歩く時に裾回しがひっくり返るのが悩みだったのに逆に愉しくなったりして・・・・。 たまたま会場にいらっしゃったこの大島をデザインなさった中賀和健秀さんに創作秘話を伺った最後に、 『僕もこれからしっかりいい仕事をして、5年、10年後に買って良かったと思っていただける作家になるから・・・』とおっしゃる少年のような目に騙されちゃったかな(笑) さて、問題は着こなせるか否か??!!!である。 (紬ファンの方、ぜひアドヴァイスを・・・)
by lime2005
| 2008-11-17 08:27
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