月末に年度末の組織改変が加わって職場に泊り込みしたいほどの忙しさでブログ放置、失礼いたしました。
3月の中旬、織姫Kさんのお誘いで、『とらや』東京ミッドタウン店内のギャラリーで開かれている『日本の染め色展』に出かける。 京都伏見の『染司よしおか』五代目当主の吉岡幸雄氏(Kさんの染色の先生でもある)が、日本古来の植物染めにこだわって研究、染めあげた布の数々を拝見する。 会場の空間を彩る鮮やかな暖簾の奥にいらっしゃるのが吉岡さん。初めてお会いた印象は京言葉が耳に柔らかい、職人と言うより学者様(笑) 暖簾の下には植物染めの主な材料と染色した布が配置されそのひとつひとつをじっくり眺めながら鑑賞。 少し離れて眺めるとコーナー全体の醸しだす雰囲気と空間デザインが見事な事に気付く。 伺うと、成田国際空港第2旅客ターミナルビルサテライト 到着コンコース のデザインを担当されているとか。ぜひこちらも足を運びたいところ。 紅花で染めた『今様色(いまよういろ)』 平安貴族のトレンドカラー(しかも階位外の間色)はこんなに鮮やかな紅色だったのか。 この紅花、源氏物語には《すゑ摘む花》として登場して源氏を驚愕、落胆させている(笑) ご存知藍(あい)。蓼藍(たであい)という植物で染めた藍はその工程で数限りない青色が染まるそうだ。 Kさんが勉強中、藍染の工程をレポートしてくれた時はドキドキした。その独特の言葉にうっとりした。 藍染には葉を腐らせ醗酵させて蒅(すくも)にする方法と灰で沈殿する方法がある事もその時知った。 藍は建てる。甕に藍の華が建つまでじっと待つ・・・。 どうして紫が階位的に高貴だったかが氷解。会場で買い求めた吉岡さんの『源氏物語』の色辞典によると、紫草の根(紫根)で染める、希少かつ高価な染色材料だったため、紫根染めの衣装をまとえる貴族は権力財力の象徴だったと・・。 紫のゆかりの色にもえいでし花のえにしの忘れらくなに・・・平安貴族の恋物語『源氏物語』はそのまま紫のものがたりだと吉岡さんはお書きになっている。 他にも矢車の実で染めた鈍色とか、胡桃色、刈安色・・・・などなど。 会場には小さなショップコーナーもあり、小物類が並べられている。 Kさん曰く、同じ値段で買うなら『紫』はお買い得なのよ!!と、紫根のところですでに学習(笑) どの小物も丁寧に、繊細に作られているものばかりでため息が出る。 会場が虎やだけに餡子の材料小豆染めの袱紗発見(笑)。媒染(色を定着させる作業)の違いで2色の小豆に染まった布が興味深かった。 中でも一番目をひいたのはこちらのスカーフ。 実は2枚の絹布を合わせてあって、その片側だけに染色されていると手にとってみて判明。 柔らかい色合いと絹糸の細さは今まで目にした事のない逸品。 もちろんお値段もね(笑) 洋装でも和装でも主たる衣装を引き立ててくれそうな色と風合いが見事でした(咽から手!) お忙しい帰省の合間をぬって誘ってくださったKさんと、突然のお誘いにも快くお付き合いしていただいたTさんに感謝。次は江戸小紋工房探訪ですね!!!
by lime2005
| 2009-03-24 02:01
| 寄り道
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